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さようなら、わたくしの騎士様  作者: 桜井正宗


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54/85

直接交渉へ向かう騎士団長

 危機的状況なのを忘れ、チョコレートのように甘い時間を過ごした。

 フェイルノートは、わたくしだけを見つめて愛してくれた。


 とてもとても幸せな二日間を送れた。


 ガウェイン騎士団のみんなとも仲良くなった。

 いつの間にかガルフォードとは友達のような仲になっていた。



「……これを僕に?」

「はい。ガルフォードに差し上げます」



 わたくしは、彼にパワーストーンであるルチルクォーツをプレゼントした。お守り代わりに。



「美しい金色……神秘的ですね。勇気を戴けました。ありがとうございます」



 嬉しそうに微笑むガルフォードは、右腕にブレスレットをつけた。こんな砕けた表情を見せるようになるとは驚いた。

 出会った時は真面目そのもので、氷のように冷たい人かと思ったのに。




 一歩邸宅を出れば、騎士たちがわたくしの存在に気づいて。



「こんばんは、クリス様」「今日もお美しい」「フェイルノート騎士団長とは順調ですか?」「貴女を必ずお守り致します」「グラストンベリーの守護をお任せください」「罠が沢山ありますので森には近づかないように」



 と、みんなが積極的に話しかけてきた。

 以前よりも結束し、交流もより深まり、ちょっとだけ家族のようにも思えていた。



 庭に出るとバルザックが庭師の仕事をしていた。



「お嬢様」

「バルザック、お父様と大叔母様はどうかしら?」


「主様も大叔母様も、無事にアルフォネス大佐のマクレオス王国に到着致しました」

「よかった。二人は無事なのね」


「はい。建前上は“視察”ということになっております」



 もちろん、実際は亡命と言うべきかもしれない。けれど、我が家・ミステル家が完全に終わったわけではない。今はリスクヘッジを取っておくべきだ。



「それで謁見の方は? 明日が期限よ」

「……上手くいっていないようです」


「……なんてこと」



 このままでは一方的に攻められて全滅しかないかも。

 不安が過っていると、フェイルノートが邸宅(いえ)の奥から現れた。



「クリス。俺は帝国に向かうことにした」

「えっ……」


「期限は明日。ならば、もう直接交渉しかないだろう」


「でも、危険すぎます! モルドレッド騎士団に見つかったら……捕まって処刑されてしまうのでは!?」


「大丈夫だ。俺は捕まる気はないし、必ずクリスのもとへ帰る」



 真っ直ぐな瞳。

 彼はいつだって、わたくしのもとに帰ってきてくれた。


 信じる。信じている。


 だから。



「解かりました。お願いします」

「ありがとう、クリス」


「あ、もしもアンジェリクスに会うことがありましたら『婚約破棄なんてしません』とお伝えてください」


「もちろん。――では、早朝には帰る」



 そのまま厩舎(きゅうしゃ)へ向かうフェイルノート。彼ならきっと陛下に現状を伝えてくれるはず。


 祈るしかない。

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