表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
さようなら、わたくしの騎士様  作者: 桜井正宗


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

48/85

婚約拒否された元老院議長の憎しみ Side:アンジェリクス

◆Side:アンジェリクス



「元老院議長の就任おめでとうございます。ですが、婚約は出来かねます」



 ガウェイン騎士団の騎士団長フェイルノートは、祝福しながらも険しい表情を見せた。

 ようやくこの地位まで上り詰めたというのに、まだ私に(なび)かないというの……!


 彼は、多くの女性を(とりこ)にした。

 私もそんな一人だった。


 オルフェリア家の長女にして、宮中伯令嬢アンジェリクス・オルフェリア。


 20歳を迎えるまで恋愛に一切興味がなかった私が唯一、フェイルノートだけは好きになれた。素顔は仮面で分からなかったけれど――ある日、偶然顔を見てしまった。とてもイケメンだった。


 弟の副団長ルドラと同じ容姿。

 双子なのだから当然なのだろうけど、元老院議長になってから彼が戦死していることを知った。

 重要な機密情報を簡単に閲覧できるようになったからだ。


 つまり、フェイルノートは弟のルドラを演じている。

 弟の死を隠し、ガウェイン騎士団をうまくまとめているようだった。

 でなければ、騎士たちの士気はとっくに低下して崩壊に向かっていたはず。


 そもそも活躍していたのはルドラ。

 フェイルノートに、ルドラほどの実力はない。


 でも、それでもフェイルノートは努力によって今の地位を築き上げた。それだけは認めなければならない。そんな努力家なところにも惚れた。



「フェイルノート、私と結婚すれば一生安泰ですよ」

「好きな人がいるんです。いえ、もうすでに彼女とは婚約済みですから」


「……なるほど」


 おそらく辺境伯令嬢クリス・ミステルのことでしょう。

 彼女の噂は最近、嵐のように帝国中を駆け巡っていた。

 元婚約者のローウェル、妹のマイナやヴァレリアと色々トラブルがあったよね。


 なぜ、あんなツマラナイ女ばかりが注目を浴び、話題になるの。


 私は女性初の“元老院議長”よ。あんな女よりも崇められるべきじゃない……?

 フェイルノートも、なぜクリスのような芋臭い女が好みなの。ワケが分からないわ。



「では、私はこれで」

「待ちなさい、フェイルノート」


「……」


「ひとつだけ忠告しておきましょう」


「……?」


「この先は“地獄”ですよ。私の手を取ればまだマシな生活が送れるでしょう。そうそう、クリスは命くらいは助けてあげましょう」


「申し訳ない、アンジェリクス議長。私は愛する人の元へ向かいますので」



 彼は氷のように冷たい表情で去っていく。



 …………そう。



 それが、あなたの答えなのね。



 解かったわ。



 そう、そんなに“地獄”が見たいのね。



 いいわ、この憎しみを。


 あなたに不変の愛憎を――。




 フフフ。

 フフフ……フェイルノートは私のもの。



 クリス、あなたは『処刑』よ、『処刑』……!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ