愛される日々
連行されていくセナトリウス。
彼の処分は早くも進み、没落貴族となった。
あんな風になってはもうオシマイ。
誰からも支持されず、ただ沈みゆくだけ。
セナトリウスは、もともと強硬派で知られて嫌われていたみたい。だから、今回の事件が起きて喜んでいる議員が多いらしい。それは好都合ね。
それからの日々は平和そのものだった。
フェイルノートと婚約を結び、愛される毎日。朝も昼も、そして夜も甘いお菓子のような時間を過ごした。
誰にも邪魔されないって最高……!
彼の容態もよくなり――完治。
激しい運動も問題なくなり、落ちた筋力を取り戻すためにとトレーニングを続けていた。わたくしの家の庭で。
「…………ふぅ」
「お疲れ様です。フェイルノート様。タオルをどうぞ」
「ありがとう、クリス」
上半身を無防備に晒し、そのスリムで筋肉質な肉体美に見惚れるわたくし。……いつ見ても凄い。
フェイルノートによれば、衰えたと嘆いていたけれど、そうは思えなかった。
引き締まったウエスト。芸術的な割れた腹筋。
あんな美味しそうに見え――じゃなくて、鍛えられるものなのねと感心するばかりだった。
「今日この後は?」
「他の騎士団の騎士団長が来訪する予定があってね。会合さ」
「そうだったのですね。実は、わたくしも少し用事が」
「解かった。では、あとで」
「はい。寂しいですけれど」
「俺もだよ、クリス。愛する君を一人にしたくない」
「フェイルノート様……嬉しい」
それだけで元気もらえた。しばらくは平気。
今日、わたくしは元老院へ向かわねばならなかった。また呼び出しがあった。
セナトリウスのことは終わったはずのに。
なんでまた……?
気になることは多いけれど、呼び出しを無視するわけにはいかない。バルザックに馬車を出してもらい、向かうことに。




