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さようなら、わたくしの騎士様  作者: 桜井正宗


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決闘の日

 剣の修練を続けていく毎日。

 必死に必死にがんばった。

 フェイルノートの支えがあったから、わたくしは一週間を耐え抜くことができた。彼がいなければ今頃は挫折していただろう。


 一週間の間にもミストレアの嫌味は続いた。手紙すらも届いた日があった。

 けれども、わたくしはすべてをスルー。


 余計なことは全て受け流し、剣のことだけに集中した。


 そうして、ついに決闘日を迎えた。



 大叔母様から貰った鎧ドレスを身につけていく。そして、剣も。

 今日はついにミストレアとの決闘の日。


 強い緊張に襲われる。

 けれど、フェイルノートがわたくしの手を握って安心をくれた。


「落ち着いて、クリス」

「……ありがとうございます」


 準備を整え、いよいよ外へ。

 決闘はガウェイン騎士団の敷地内ですることになった。

 多くの騎士に見守れながらということに。

 なんだか事が大きくなってしまったような気がする。


 馬車でガウェイン騎士団へ。


 到着すると敷地内には、すでに多くの騎士たちが集まっていた。

 軽く30人はいそうな人数だった。

 こ、こんなに……。

 余計に緊張するじゃない。


「大丈夫かい? もし目線が気になるなら彼らを外させるけど」

「いえ、みなさんに見届けて欲しいです。わたくしが勝つところを」

「そうだね。俺もクリスが勝つと信じている」

「本当ですか?」


「ああ。この一週間、キミはとんでもない鍛錬を積んだ。今や、あのミストレアを超える剣技を手に入れたといっても過言ではないだろう」


 そこまで褒めていただけるなんて嬉しい。

 本当に血のにじむような努力をした。

 これほど手を、足腰を動かすなんて今までなかった経験だ。

 大変だったけど、でもフェイルノートの支えのおかげで、そこまで苦しくはなかった。むしろ、楽しいまであった。


 十分すぎるほどのサポートをしてもらった。


 だから今日は負けるわけにはいかないし、負けるつもりもなかった。



「よく来ましたね、クリス」

「ミストレア、貴女こそ」



 ゆっくりと距離を縮め、対峙する。

 彼女は以前と同じ軽装アーマーに身をまとい、早くも剣を鞘から抜いた。気の早い女性(ひと)ね。



「おぉ、クリス様とミストレア副団長代理が……」「ついに決闘か」「なんでも婚約をかけてだとか」「ほぉ、婚約ね」「そりゃ面白いな」「どちらかが勝てばフェイルノート騎士団長と婚約というわけだ」「そりゃ一大事だな」「俺はクリス様を応援しているぜ」「いや、ここは悪いがミストレア副団長代理だ」「どっちも負けるなー!」



 などなど応援の声も。


 さて、いよいよこの時ね。

 わたくしはミストレアの前に立ち、彼女を見つめた。



「今日がクリス、貴女の命日です」

「まるで殺すみたいな言い方ね」


「ええ、そのつもりでやりますからね! 覚悟しなさい」



 これ以上の言葉は不要。

 剣で語りえば十分――!

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