センチフォリア帝国の城内
センチフォリア帝国の城内。
わたくしとフェイルノートは今回の事件のことで呼び出され、元老院議員から説明を求められていた。
「フェイルノートよ、ラングフォード家の不祥事をよく止めた」
「いえ、私は当然のことをしただけです」
「ふむ。だが、お主が“偽者”という疑惑もある。騎士団長、お前を信じていいものか……」
疑心暗鬼に陥っているせいで、皇帝陛下も姿を現さないと議員は怪訝な顔をして言った。
やっぱり、議員もそういう風に思っているんだ。
そんな空気の中で同行していたガウェイン騎士団の騎士たちが声を上げていた。
「議員、騎士団長は本物ですよ!」「彼がヴァレリアを捕まえた」「クリス様を救ったんですよ」「彼こそ英雄です」「騎士団長を疑うということは、我々を疑うと同義ですよ!」「戦争を有利に進めたのはフェイルノート様だ」
など支持する言葉によって議員は萎縮した。
「……っ。ずいぶんと慕われておるな。まあいい! さっさと帰れ!」
元老院議員は慌てて奥へと消えた。
なんだか慌ただしいというか。
「クリス、これで報告は完了した。帰ろう」
「はいっ」
その三日後にはヴァレリアの公開処刑が行われた――という。
わたくしは見に行かなかった。
見る価値もなかった。
正直どうでもいい存在だったから。
それよりも墓地へ向かい、ルドラに哀悼の意を捧げていた。フェイルノートと共に。
「どうか安らかに」
ルドラとも多くの思い出がある。
フェイルノートを軸にしていたから、どっちがどっちだったのか今ではもう分からないけれど。
わたくしは祈りを込めた。




