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さようなら、わたくしの騎士様  作者: 桜井正宗


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24/85

本物の騎士団長となった日

「クリス様を幸せにするのは……この僕だ!」


 一人の騎士がルドラに向かっていく。

 けれど、光の槍を作り出すルドラは相手を子供のように裁く。騎士の体が紙のように吹き飛び、遠くへ。


 す、凄い……!


 他の騎士も動揺していた。けれど、一人では無理だと悟って今度は十人程度が襲い掛かってきた。なんて卑怯(ひきょう)なの……!



「この戦いに騎士道精神など不要!」「そうだ、偽騎士団長を倒せばいいのだ!」「覚悟しろ、偽フェイルノート!」「クリス様を助けるのだ!」「この人数なら勝てるだろ!」


 一斉に向かってくる騎士たち。

 そこまでして勝ちたいなんて……。


 いえ、彼らのせいではない。

 元をたどればヴァレリアのせい。

 この人たちは、ある意味では操られているだけ。



「や、やめてください!」



 わたくしは精一杯叫ぶものの、その声は届かなかった。

 男性騎士たちの声の方が圧倒的で、もう止められる勢いではなかった。



「覚悟ォ!」「この場で散れ、偽フェイルノート!」「消え去れ、偽者!」「ガウェイン騎士団に栄光あれっ!」「うぉぉぉおっ!」



 複数人の騎士がルドラに襲い掛かる。けれど、ルドラは冷静に立ち尽くし光の槍を向けた。

 その光景がまるで“深い森”で見た凛々しい表情によく似ていた。フェイルノートそのもののような。

 ああ、そうだ。今はだけは本物のフェイルノートだ。


 彼は光の槍を騎士たちに向け放った。


 光は一瞬で到達し、彼らを吹き飛ばしていた。



「うあああああ!」「な、なんだこれは!!」「こ……この光、まさしく“本物”ではないか」「誰だ、偽者とか言ったやつ!」「彼はフェイルノートじゃないか!」「くそおおおおお……!」



 十人以上が遠くへ投げ出され、倒れていた。

 あんな人数でもアッサリと。


 やっぱりルドラは凄い……!



「ルドラ様!」

「君のおかげさ、クリス」

「いえ、わたくしは何も……」


「そばにいてくれるだけで力が湧き出るんだ」

「まあ、嬉しいっ」


 残りの騎士は、この光景を見て一歩どころか十歩は下がっていた。完全に怯えていた。ルドラが本物のフェイルノートだと確信して。


 そして、ついには逃げ出した。



「……やれやれ、行ったか」

「お疲れ様です。ルドラ様」

「ありがとう、クリス」



 この『1対30』の大決闘はすぐに話題になり、ウワサになった。

 彼が本物のフェイルノートであることが決定的となり、ヴァレリアの嫌がらせは阻止された。

 バルザックによれば、ヴァレリアは悔しがっていたという。


 今後また何かされるかもしれない。

 でも、わたくしもルドラを守るし。

 ルドラもわたくしを守ってくれる。

 力を合わせればヴァレリアなんて怖くない。

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