1話 舞
「えっと…」
困ったように考え込む彼女に慌てて言った。
「ちが、違くて今のは…その…」
あたふたしながら身振り手振りで恥ずかしさを誤魔化そうとする俺を見て不思議そうに言った。
「初対面で告白されたのなんて初めてだよ」
顔が熱くなっていくのがわかる。そんな俺を見かねたのか、旗また別の理由があったかは分からないが彼女は更に言った。
「まずは…友達…から?」
「え、いいの?」
思わず食い気味に反応してしまった。
「えっと、自己紹介した方がいい?柊有栖です」
「え、えっと天羽桔梗です」
じゃなくて!なんでいいんですか?
自己紹介終わりにすぐツッコミ疑問を口にする。
「なんでって、告白されたし…?なんか面白そうだなって」
「え、そんなんでいいんですか?」
「もちろん。これからよろしく」
目の前の美少女、有栖は立て続けに「連絡先交換しとく?」といい、メッセージアプリのIDを表示する。
連絡先交換だけ交換して今日は解散するとの事でまた会おうといい、別れる。
というか、あの子うちの制服着てなかったか…?
リボンも1年生のつける赤だったし。あんな子いたらすぐ話題になるはずだが…。
考えながら今度こそ家に帰る、この日の夜はあまり眠れなかった。
△□▽□
「で、お前は俺がクラスメイトの男共とカラオケで遊んでる間に美少女とイチャついていたと。」
雅が方をつかみながら揺らしてくる
「や、やめろ昨日は寝不足で今ゆらされたら朝食ったもん全部出る」
「てかそんな子いたらすぐ噂になってんだろ本当は夢でも見たんじゃねーの?」
「でも連絡先は残ってるし、あれが夢だなんて思えないんだよな」
「そういや昨日、A組1人遅刻かなんかで来てないって言ってなかった?その子なんじゃねえの?」
言われてみれば確かに、いやでもそんな漫画的な展開が二度も起こるわけ…。
「と、言うことで自己紹介をしてください」
「えっと…、柊有栖です。昨日は…、来られなくてすみませんでした。一年間よろしくお願いします」
あった。漫画的シュチュエーション、昨日勢い余って告白した美少女がクラスメイトだった。
そんな美少女の登場により、クラスが湧く。主に男子の面々が、だが。
「はいはい、落ち着いて。柊さんの席は1番左の列の空いてる場所ね」
ザワザワとしてる教室を落ち着かせてから、先生は空いてる席を指さす。
そのまま有栖が席に着くと直ぐに切り替えて授業が始まった。その授業の間俺はずっと彼女から目が離せなかった。
「あのさ」 「連絡先とか教えてくれない?」 「モデルとかしてるの?」
休み時間柊有栖はクラスのみんなに声をかけられていた。
「うーん、ちょっとごめん」
彼女は困ったような顔で、こちらを向き言った。
「あそこにいるの、私の彼氏…なのであちらに問い合わせお願いします」
教室に一瞬の静寂が訪れ爆発する。
「はぁぁぁぁぁあ?」
気がつけば俺も一緒に叫んでいた。
「ごめんね、なんか。」
謝罪とともに緑茶が差し出される。渋いな、おい。
「あ、ありがとう…。まさか同じクラスだとはしかも全部押し付けられるとは思ってなかった。と、言うか彼氏で良かったの?」
「うん、ごめん私もこんなになると思わなかった。えっと…彼氏いたら余計な詮索されないで済むかなって」
有栖があまりにも困ったように言うので、「あぁ」と納得した。
まあ、おかげでクラスのみんなには、「一目見て告白した勇者」だの「美女と野獣」だの「爆発しろ」だの言われ放題だった。
後半2つはないだろ。
「はいはい、おしゃべりはそこまで。これから、部活動の紹介があるから全員体育館に移動ね」
先生が盛り上がっているところに待ったをかけるように言うと。
各々が返事をしながら体育館へと歩き出した。
「ところで、柊さんは何の部活に入るつもりなの?俺はバスケ部かなって思ってんだけど」
「私は演劇部」
隣を歩く有栖に尋ねると食い気味に答えた。
「演劇ってみんなの前で劇をするってこと?発表会みたいな」
「発表会なんて生易しいものじゃない、私は全国一を狙ってる」
少し不機嫌気味に答える有栖に地雷を踏んだかと思い「ごめん」と一言いい、演劇って全国一とかあるのかなんて考える。
「おっとごめんね」
ぼーっと考えながら歩いていると人にぶつかってしまった。
「す、すみません」
「大丈夫だった?」
声と共に手が差し出される。
「ありがとうございます。」言いながら手を取る。
「怪我がなさそうでよかったじゃあ僕この後出し物あるから」
「あ、はい」
じゃあ、といいそのまま歩き出した。
優しそうな雰囲気を纏ったイケメンだった。
「大丈夫?」有栖が心配そうに尋ねてくる。
「大丈夫、それより体育館ついたね」
問題ないことを伝え、1-Aの列に座る。
プログラム通りにサッカー部から始まり、2時間ほどたっただろうか。
「では最後の部活動紹介、演劇部の皆さんです」
そんな司会の言葉と同時に声が聞こえてくる
「みなさんこんにちは!神無月高校演劇部です。私たちは普段2階にある視聴覚室で練習してるので気になった方が居たら是非お越しください」
他の部活と何ら変わらない、淡々と説目を続ける演劇部。
そんな演劇部に入りたいと言っていた有栖に目をやると、少し悲しそうな表情をしてそれを見つめていた。
俺はそんな彼女の横顔から目が離せなかった。




