プロローグ
キーンコーンカーンコーン
「はい、ということで初日はここまでにして自己紹介でもしてみますか」
チャイムと同時に手に持っていたプリントを置き、担任の工藤麻耶は言った。
「まずは1番の天羽君からね」
俺からかよ、心の中で焦りながらも返事をして立ち上がる
「大三中から来た天羽桔梗です、中学の頃からバスケしてたので高校でもやろうかなって思ってます。以上です」
当たり障りのないことを言い座り次の人の自己紹介を聞いていた。
「はい、全員終わったかな?1人遅れてるらしいのでその子はまた今度してもらいますね」
全員の自己紹介が終わり、先生の言葉を聞いて周りを見ると確かに1つ席が空いていた。
初日から遅刻ってマジかよ。
「はい、ということで今日はここまでこの後部活の見学だったりする人はしてしない人は気をつけて帰ってね」
最後まで遅刻した人は来なかった。おいマジか
▽□▽□
「よっ、お疲れー」
友人の佐藤雅が俺を見つけて直ぐに近寄ってくる。
「お疲れ、バスケ部見に行こうぜ」
「はいよ、てかクラスどうだったよここ近いくせに三中のやつらあんまいねーからな」
「なんかあんまり印象ないな、担任の人は優しそうで良かった。あと1人休み…?遅刻…?してた」
「おいおい、初日遅刻はやばいな。てか担任ガチャ当たりっぽくて羨ましいよ、うちなんて初日から授業だぜ?」
なんて会話をしながら歩いていたら体育館の前に着く。
「おお、体育館デカイなやっぱ」雅が言いながらドアを開け中に入っていったので俺もそれについて行く。
「あれ、入部希望の子?多いね今年は」身長の高いイケメンが俺らに気が付き声をかけてくる。
「あ、俺ら中学でもバスケしててバスケ部入りたくて」
食い気味に雅が言うと、「いいね!でも今日は一旦見学な」指を指す方を見ると既に10人くらい新入生が立っていた。
見学スペースに行きそのまま小一時間程練習を見て、その日は解散となった。
「この後どうする?俺はちょっと新しいクラスのやつと約束案だけど…。」
こいつ友達出来んの早くない?なんて思いつつひとりで帰ることを伝えると、「じゃあまた明日」なんて言いながら雅は走って言ってしまった。
とぼとぼと1人帰路につくと桜が綺麗に咲いているのが目に入った。
「綺麗だな」そんな言葉は気持ちのいい春風に乗って消えていく。
ふと、昔よく行った公園を思い出す。そういえばあの公園真ん中に桜の木生えてて邪魔だったなと。
「久しぶりに見に行くか」
思い立ったら即行動、俺の足は自宅とは逆方向の公園に向かっていた。
にしても、バスケ部の見学割と早めに行ったつもりなのに見学10人いたの凄いな。
「相変わらず邪魔くさいな…。」
昔よく鬼ごっこをしている時にでぶつかった思い出のある桜に文句を言いながら公園に入る。
うーん、誰かいるな。入る前は気が付かなかったが、桜の木の後ろに誰かが立っているのが見えた。
気まずいし帰るか…?いや、せっかく来たんだし引き返すのもな。
桜の木に近づき、ふと見えたその顔に俺は息を呑む、腰まで伸びた銀色の髪に、透き通った青い瞳、身長はあまり大きくないがモデルか何かかと思うほどのプロポーション、そしてなにより
「あの、付き合ってくれませんか?」
見ず知らずの美少女に一目惚れし、口に出してしまった自分に驚いていた。
至らない点等多いと思いますが少しでも楽しんで頂けたら幸いです。