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邦剛たち3人が向かったのは、偶に祐也と買い食いなんかをする鯛焼き屋。


今日は祐也に用があるからと、短い時間で済む寄り道となったのだ。


邦剛はどうせいつものように放ったらかしにされての、声すら掛けられない自由行動だと思い、好きなものを頼んで、怯えた店員からそれを受け取る。


それでいただきますと邦剛が鯛焼きを口に運ぼうとしたところ、まひるがこんなことを聞いてきた。


「邦剛くんって、もしかして甘党なのかな?」


「へぶっ。」


突然のことに思わず鯛焼きと唇を重ねてしまう邦剛。そして、声がした方に一瞥し、鯛焼きを一口。


「……もぐもぐ……こくん……なんのことだ…。」


こんなふうに落ち着きを取り戻した装いで、邦剛が誤魔化そうとしたのだが、祐也がなんてことはないといった様子で口を割ってしまった。


「うん、そうだよ。」


「…ユウ。」ジロリ。


「おいおい、ゴウくん、そんな怖い顔しないでって…だってバレバレじゃないか。君がそんなの食べてたら…。」


「…そんなことない。」


「いや、そんなことあるって、ゴウくん…そんなアップルシナモンカスタードクリームなんて食べてれば、誰だってわかるでしょ。ねぇ、向井さん。」


「うん、そうかな。だから僕も聞いてみたんだから。」


まひるには邦剛など眼中にないのだと思っていたのだが、どうやら注文したところを見られていたらしい。


ちっ…ユウはともかくまひるめ…目敏くよく見ているじゃないか…。


「…新商品って書いてあったから気になっただけだ。勘違いするな。」


「ぷっ、あははっ♪ああ、そういえば、そういう言い逃れはできるね?邦剛くん、さっすがっ♪あったまいい〜っ♪」


「そうだね〜看板に書いてあったもんね〜、ねぇ、ゴウくん♪」


なんて言いながら、邦剛にわかってるよなんて、誂いつつ思いっきり笑っているのが少し癪に障る。


「…ちっ、実は甘いものは好物だ…これでいいだろ?」


「うんうん!正直なのはいいことだと思うよ、僕はそういうの好きだよ?邦剛くん。」


「だって、よかったね、ゴウくん。女の子が好きだってよ。」


「…フン。言ってろ。」


それから3人で軽い会話。


まひるが邦剛の知らないスイーツ情報を教えてくれたので、頭の中でメモをしたりなんてことをしていると、いつの間にやら時間になっていたらしい。


祐也が携帯を確認した。


「…あっ、ごめん。今日はここまでみたい。じゃあね、ゴウくん。あと向井さんも。」


「ああ、じゃあな。」


「うん、またね。」


駅の方に向かっていく祐也を見送り、さて自分の役目は終えたと邦剛もそれじゃあと本屋でも覗いて帰ろうと思ったところ、不意にまひるに呼び止められる。


「待ってくれるかな、邦剛くん。」


「?…なに?」


「ちょっと時間いい?」


「……よくな…「さっき話で出た喫茶店で」…わかった。少しだけな。」


邦剛自身、絶対に面倒なことになる予感はしていた。でも人類はプリンアラモードの誘惑には勝てない。邦剛がダメなわけではないのだ。


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