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関西訛りな人工生命体の少女がお母さんを探して旅するお話。  作者: 虎柄トラ


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はじめての坑道探索その3

 リアムは一人頷き納得すると、五センチ角の石を左手に二つ、残りの一つを右手に分けた。そして、玩具が視界に入ると同時に、右手を振りかぶり投石した。その石は彼女に視線を向けようと動かした頭部に、レンズのど真ん中に命中した。銀の木同様にプスプスと煙を上げてすぐに動かなくなった。坑道内での機械兵器との初遭遇は、こうしてすんなりと幕を閉じた。


 その後もリアムは坑道内を突き進みながら、機械兵器に遭遇すると一射も撃たせることもなく、淡々と先制攻撃を仕掛け、全て一撃のもとで葬り去っていた。頭部に向かって投擲しては、めり込んだ鉱石をはぎ取ると、破損していないか確認し特に問題がなければ回収して再使用、問題があった場合はそのまま廃棄して、左手に確保していた予備の鉱石を使用していた。鉱石を積んだトロッコを見つけた時には、そこから廃棄した分を補充しておいた。


 投擲者は気にしていない様子だったが、まん丸参謀はそうではなかった。頭部を貫通した投石が壁にめり込み、ボロボロと崩れ落ちる瞬間を見たことで、他に方法はないのかと苦言を呈したが最後まで続行された。投石もそうだが、その石の持ち運び方や見つかるの前提の移動や他にも色々と思うところはあった。ただそれでも極力言わないように心がけていたが、これだけはどうしても声に出さざる負えなかった。


 またリアムはウィルから彼らの動力源が魔宝石だと教わっていた。その際、邪魔じゃなければ、できるだけ魔宝石は回収しておくべきだとも教わった。魔宝石は一番利用価値が高く、物々交換をする時にも面倒くさい交渉をせずにスムーズに決済できる代物。この荒廃した世界で唯一貨幣のように取引ができるものがあるとすれば、この魔宝石以外にはない。そんな話を聞かされたところで、手荷物が増えるため最初は気乗りしなかったが、前にイデアも似たようなことを言っていたのを思い出して回収することにした。とはいっても、ベルトポーチに余裕がある場合に限る。それ以上は残念ながらその場で放置か、または次の標的にぶつける弾丸として扱われる。


 最終的にリアムは四十体もの大小さまざまな機械兵器をガラクタにした。彼らの動力部は全部同じ位置にあった、そのため魔宝石を回収するのに手間はそれほどかからなかった。人間でいうところのみぞおち辺りにある動力部の蓋をこじ開けて、その奥にある魔宝石をもぎ取るだけの簡単なお仕事。

 魔宝石は全て回収し半分はベルトポーチに収納し、残りは白衣のポケットの腰ポケットに左右半分ずつ仕舞い込んだ。四十個目を回収する時になって、リアムはあることに気が付きちょっとだけ後悔した。それは投擲用の鉱石もポケットに入れて持ち運べばよかったのではという些細なことだった。

最後まで読んでくれてありがとうございます。ブックマークや高評価もしていだけますと、作者のトラが飛び跳ねて喜びます。


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