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関西訛りな人工生命体の少女がお母さんを探して旅するお話。  作者: 虎柄トラ


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はじめてのモーテルその3

「そうか……西じゃなくて東の方だったか、しかも死の山脈を越えた先にある集落ときたか……」

「東だと問題?」

「環境が西と東だと段違いでね、西側はこの道路を基準にすれば、簡単で確実に目的地まで行けるルートを作成できるんだけど、東側は旧時代でもあまり人が住んでいなかったようなんだ。そのためこっち側と比べて目印となるものや、休憩できるような場所がほとんどない。僕たちですら準備万全の状態で向かったとしても、無事では戻ってこれないだろう。まあそれでも僕を背負ったままで、息も切らさずに走り切れるほどの体力がある君なら、問題なさそうではあるが……」

「問題ない。休憩なくても大丈夫」

「だろうね、そこはあまり心配はしていないよ。それよりも一番の問題はこの死の山脈を越せなければならないことなんだ……とはいっても越せないわけじゃない。登山をしなくても通り抜けれる方法があるから、僕は無理だったけどリアムなら大丈夫行けるはず」


 ウィルはそう言うと、ベッド横から移動しテレビ台に向かった。それから引き出しの中に入っていたボールペンと紙を数枚手に取り戻ってくると、広げた地図に合わせるようにベッドに置いた。

 その後、ボールペンがまだ使えるか確認を済ませたウィルはリアムの横隣に腰を下ろすと、言葉と文章で今後の移動について説明していった。


 死の山脈を越えるまでは道路に沿って移動をして、道が分かれていた時はウィルが書き記してくれた道を間違えずに選びまた移動を繰り返す。死の山脈に無事たどり着けたら鉱山跡地の入口を探し出し、あの施設で入手したIDカードを使用して堂々と正面ゲートを通過する。鉱山跡地は放棄されて久しいが、問題なく稼働するらしい。

 ただここで一つ問題があって、今のゲスト用IDカードでは鉱山跡地に入ることはできないらしく、途中である場所に立ち寄って、作業員用IDカードに書き換えないといけない。あのガラス扉のようにゲートも破壊できれば、そんな面倒な手続きをしなくても済んだ。


 正面ゲートは鉱山を掘り進めた最初にできた空洞を埋めるという目的も兼ねている。その際、ロクに補強工事もせずに正面ゲートをそのまま安直に設置したことで、時間短縮はなったが耐久性が大幅に低下した。正規でただ通過するだけならば何の支障もないが、無理にこじ開けようものなら、その振動はゲートを伝って壁は脆くも崩れ落ち、もう二度とこのルートが使えなくなる。

 発掘者や行商人が使える移動ルートを一つ自分の手で潰すことになる。それはつまりイデアやウィルにも迷惑がかかるということ。なので、リアムは非常に面倒くさいとは思ったが、その案を受け入れることにした。


 またIDカードを書き換えられる場所まではウィルが同行することになった。あとあとそのことについてウィルに理由を尋ねてみると、その場所は商人が寄り集まってできた集落のため、リアム一人だけでそこに行かせるのは心配とのことだった。


 それを聞いたリアムは不満そうにしながらも、ほんの少しだけほほを緩ませた。はじめて出会ったあの人間に見送ってもらった時のような懐かしい感情を覚えた。

最後まで読んでくれてありがとうございます。ブックマークや高評価もしていだけますと、作者のトラが飛び跳ねて喜びます。


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