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関西訛りな人工生命体の少女がお母さんを探して旅するお話。  作者: 虎柄トラ


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はじめての工場見学その1

 あれから数週間が経過した夕暮れ時、リアムはとある場所にいた。イデアからお母さんらしき人物が、この場所に訪れたという情報を得たからだ。不明確な情報ではあるが、同業者が車両を運転中に白衣を着た人物をここで見たらしい。ただその場所は人間にとって近寄りがたい場所にあった。金属製のフェンスで仕切られたその場所は、過去の大戦において大量の兵器を製造していた兵器工場区域。フェンスは破られ区域内の工場や施設なども破壊され、その大半は瓦礫の山と化している。

 ここは禁足地のように人間が自ら規制して、立ち入りを禁じているわけではない。そもそもここにはもう何も残っていない、ならず者によって価値あるものは全て取りつくされている。そのためこの区域に足を踏み入れたところで、何も得るものがない。実際に丸三日かけて区域内を探索してみたが、特にこれといって気になるものはなかった。


 丸三日間というのも言葉通りで、リアムは一睡もするどころか休憩すら取らずに区域内を歩き回った。あの腕時計を購入してことにより、夜でも気にせずに動き回れるようになった。とはいっても、日中に比べると視認範囲は圧倒的に狭い、ディスプレイが照らしている箇所以外は暗闇に包まれている。ただ亡骸樹林で暗いからと移動ができなかったことを思えば、これくらい何ともない。屋内はともかく屋外に関していえば、月明りだけで腕時計を使用せずとも問題なく探索できた。日中は屋内を、夜中は屋外と時間帯をわけることで、効率よく区域内を調べ回っていた。


 何の成果の得られないままリアムは四日目の朝を迎えていた。今後の予定についておもちから助言をもらおうにも、いつもの場所でスヤスヤと眠っている。人間もいないし集落でもないのに起きようとしない。


 リアムは膨らんだ胸ポケットを眺めため息をつくと、どこか見落としているものがあるんじゃないかと見回しながら歩き出した。一時間ほど散歩を続けていると、ふと気になる施設を見かけた。兵器工場区域に建っていることもあり、他の建造物同様に何かしらの兵器を製造しているのは間違いないのだが、この施設のみご丁寧に看板のみ取り外されていた。

 どうしていままで気づかなかったのだろうと思えるほど、この施設だけは異質な外観をしていた。他の施設と変わらず、ガラス扉に灰色の壁といたって普通。ただ違うのは他の建造物は必ずどこか損壊している、しかも最低でも半壊という壊れぐらいだ。なのに、この施設だけは新造されたと虚偽の情報を教えられたとしても、疑いようがないぐらいに綺麗だった。壁は灰色ということもあり、傷が目立たないだけかと思い間近で確認したが、見つけられなかった。それ以上に驚いたのは正面にある唯一の出入口であるガラス扉、これも壁同様に傷一つなかったのだ。

最後まで読んでくれてありがとうございます。ブックマークや高評価もしていだけますと、作者のトラが飛び跳ねて喜びます。


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