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関西訛りな人工生命体の少女がお母さんを探して旅するお話。  作者: 虎柄トラ


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はじめての強襲その2

 リアムは手のひらサイズの石を拾い上げると、赤く光るレンズめがけて投擲した。レンズは粉々に砕け散り頭部を貫通した石は、真後ろにあった木にめり込んで止まった。頭部からはプスプスと黒煙を上げ、両腕のマシンガンは地面に突き刺さり、両足はプルプルと小刻みに震えていた。その状態が暫く続いたあと、直立不動のまま停止し銀の木はその役目を終えた。


 リアムは空を見上げ「ちょっと早い起床」と目を細めてそう呟いた。昨日はどれほど進んでも終わりがないと思っていたが、たった半日で森を抜けることができた。本来であればもっと時間がかかり、あと二日は要していたかもしれないが、良くも悪くも銀色の木の襲撃により、最短ルートが開拓されていた。木々をなぎ倒し地面を踏みしめてくれたおかげで、森の中でも障害物を気にせずに走れる道ができあがっていた。銀色の木はこっちから見て森の出口側で、侵入者を待ち受けていたらしい。もう今さら確認のしようもないのだが、この機械兵器は遠距離索敵用だったのかもしれない。近距離であれほどもたついていたのに、森の端からここまで迷わずに真っすぐ向かって来た。また同型と出会えた時にでも確認してみるとしよう。


 森を抜けた先には入口側と同じく緑あふれる野原が広がっていた。ここからでは集落も人間が作ったであろう人工物の一つも見当たらなかった。そのまま北上を続けていると、いままで存在しなかった建造物を発見した。どうやら北に向かってこの土地は傾斜が緩やかに上がっていたらしく、ある位置まで移動しないと見えないようになっていた。リアムは傾斜を下りながら導かれるようにその建造物に向かった。


 建造物はコンテナを用いて作った住居のようだった。ただここにはもう人間は住んでいないようで、コンテナ内には蜘蛛の巣が張っていて、残された衣類や家具は元の色が判別できないほど、大量のホコリがかぶっていた。目ぼしいものも特に見つからないなか、リアムは壁にかけられた地図に目を向けた。コンテナを中心に半径5キロの情報をまとめた地図だった。文字もなく絵のみしか描かれていない、どうやらここの住人によるお手製の地図のようだ。


「これはなんやろ?」


 その地図にはここから北に3キロの地点に、横線を引いた上に大小異なる四角形が描かれていた。そしてその絵に重なるように赤ペンで二重丸がされていた。住人にとって重要な場所に違いないのだが、この絵は何を表していているのだろうか。

 リアムが一人悩んでいると、いつもの位置から「チュ~」と鳴き声が聞こえた。どうやら二十時間ぶりに彼が目を覚ましたようだ。


「あ~、なるほど。この四角いの一個一個が建物を描いてるんやな。って、ことはここに集落があるってこと?」

「チュウ!」

「最初から集落って言ってくれんと分からんやん。そうと決まれば、いますぐ出発!」

最後まで読んでくれてありがとうございます。ブックマークや高評価もしていだけますと、作者のトラが飛び跳ねて喜びます。


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