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関西訛りな人工生命体の少女がお母さんを探して旅するお話。  作者: 虎柄トラ


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はじめての虚言その2

「なんか面白れぇことおきねぇかな~」

「どうしたんだよ急に?」

「いやさぁ、もう半年だぜ? 誰も来ねぇのに朝から晩までここに突っ立ってんだぜ。お前は飽きねぇのか?」

「そういうことかよ。お前の言うことも分からんでもねぇよ? ただなぁこれが俺たちの仕事だ。そのおかげで俺たちは食い物にも寝床にも困らねぇわけだしよ」

「仕事だと割り切れる、お前はすげぇよ。俺には一生できそうにねぇわ。つうか、お前あの幹部のウワサ聞いたか?」

「商品に手を出して消されたってやつだろ? 上玉を廃棄しないといけないって、あの温厚なボスがガチギレしたらしいな。せっかく幹部になったってのに、バカなやつだよな。そのおかげで俺らにもチャンスがもらえたわけだが、まあそのチャンスを行使できねぇのが問題だがな」

「だよなぁ~、見張りさえなけりゃ俺らも商品探しに行くんだけどなぁ~」


 会話の内容がどこか不穏に感じたおもちは、この集落を通り過ぎるようにリアムに助言した。あの人間は確かこう言っていたはずだと、一つ目の集落は無視して二つ目の集落で情報収集をするようにと。しかし、リアムはおもちの言葉に耳を傾けず、ブロック塀を飛び越えて彼らの前に姿を見せるのであった。


 新たな集落に訪れたリアムは最上階の角部屋でイスに腰かけ、彼らのボスが来るのを待っていた。今回の集落は中層マンションで部屋は全てワンルーム、一階から四階までは四畳間、五階は六畳間と部屋の広さが違った。一部屋ずつ確認していったというわけではなく、この部屋に案内される際に、人間のほうから勝手に情報提供してくれた。各部屋にはバストイレ、キッチンが完備され、最上階になると、冷蔵庫やエアコンといった家電製品まで揃えてあった。エネルギー源は全て魔宝石が使用されていた。ノリスの集落では魔宝石どころか、そもそも家電製品自体が一台も存在しなかったし、現物を見せても宝石類の一種だと誤認されるほど、魔宝石という物自体が彼らにとって初見であった。なのに、ここでは各部屋に予備の魔宝石まで用意されていた。たかだが四日程度の距離しか離れていないのに、これほど文明が異なるとは思いもしなかった。


 おもちは耳を澄ませ、ここに案内した彼らの足音が遠のき完全に部屋前からいなくなったのを確認すると、視点を動かさずドアを見続けるリアムに本日三回目の忠告をした。


「チュチュチュ!」

「その話は聞き飽きた。鍵を閉めたのだって、不審者が入ってこないようにするためって、あの人間もそう言ってたやん。それにお母さんのことも知ってるって言ってたし、とりあえずボスってのに会うだけ会ってみようや」

「チュウ~」

「そんなに心配せんでええて、もしあの人間たちが嘘をついていたのなら、その時は処分すればいいやん?」


 リアムの楽観的な回答におもちはまだ何か言いたそうにしていたが、こちらに向かって来る足音が聞こえたため口を閉じポケットに戻った。

最後まで読んでくれてありがとうございます。ブックマークや高評価もしていだけますと、作者のトラが飛び跳ねて喜びます。


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