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関西訛りな人工生命体の少女がお母さんを探して旅するお話。  作者: 虎柄トラ


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顔馴染みの行商人その4

「当店の利用規約、注意事項はこちらで以上となります。それでは皆様、今からウイングを開放いたします。危険ですので、数歩後ろに下がっていただけますでしょうか?」


 住民がポチから離れたのを確認したイデアが合図を送ろうとした瞬間、右側のウイングが勝手に開き始めた。


「また私の合図を待たずに……もう慣れたので別に気にしませんが。さて、大変お待たせいたしました。只今よりイデア商店、開店いたします。ご不明な点がございましたら、私にお声がけしていただけますと幸いです。では、お買い物をお楽しみください」


 開いた先にあったものを目の当たりした住民は各々感嘆の声を上げ、我先にと商品に群がっていった。兄妹も見たことがない数々の商品に目を奪われている。先ほどまでの警戒心はどこに消えてしまったのか、今にも駆け寄りそうなほどウズウズしているのが見て取れる。彼の父親であるダートはというと、缶ビールを片手に酒のつまみを物色中である。


 何度も見てきた光景を呆然と眺めつつリアムは、隣に移動してきたイデアに問いかけた。


「それで、お母さんについての新情報って何?」

「同業者がここよりも南西のとある場所で黒髪で白衣を身に纏った女性を見たそうです。ただすぐにどこかに行ってしまったようで、お母様かどうか確認することはできなかったようですが……」

「――了解した。いつも通り地図に目印つけておいて」


 リアムはそう言うと、ベルトポーチからボロボロの地図を取り出しイデアに手渡した。


「承知いたしました……リアム様、あの一つお聞きしてもよろしいでしょうか?」

「――何?」

「あの私が今更こんなことを尋ねるのもおかしな話なのですが……どうして何一つ疑わずに信じてくれるのでしょうか?」

「イデアが何を言いたいのか分からない。おもちがイデアを信用しているから、リアムもイデアを信用しているだけで、それ以上もそれ以下もない」

「ふふふ、リアム様はそういうお方でしたね。お母様と再会できるその日まで、最後まで私はリアム様をサポートいたします」

「なんか今日のイデアはいつもより変、かなり変。今まで通りお母さんの情報を教えてくれるだけでいい。リアムはまだ釘打ちが残ってるから、ちょっとやってくる。明日ここを出発するのも決定したし、今日中に終わらせておきたい。地図はダートにでも渡しておいて」

「承知いたしました。では、またのちほど」


 会話を終えた二人はそれぞれ別方向に歩き始めた。一人は家畜小屋の改築作業を再開するために、もう一人は列を成して待っているお客様を応対するために。

最後まで読んでくれてありがとうございます。ブックマークや高評価もしていだけますと、作者のトラが飛び跳ねて喜びます。


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