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祝福の義務

 数日後、わたしは姉のエウリカと一緒に街へ買い物に出かけました。

 ライ大神官様への返事は決まっていませんが、気分転換になれば、と思ったのです。


 出かけた先で、最近できたばかりだという可愛らしいパン屋さんを紹介されました。

 姉の友人が幼馴染みと結婚して始めたのだそうです。


 それにわたしは首をひねりました。


 なぜなら、そのパン屋さんのあった通りは、巻き戻る前は大きな商会が軒を並べる場所で、そんな商会の店舗が数を減らす代わりに、小さな新しい商店がいくつも建っていたからです。


 目をみはるわたしに、姉が言いました。


「カリーナはこの辺りは初めてだったかしら? お父様のお店とは違う通りだもの、初めてでも不思議はないわね。以前はお金持ち向けの大きなお店が多かったのだけど、ここ数年は可愛らしい小さなお店も増えてきたのよ」


「こんな立地のいい土地を、どうして手放したのでしょう」


「まあ、難しい事を訊くのね」


 姉はくすくす笑いながら教えてくれました。


 法律が変わり、祝福を受けていない土地や建物は取り壊されるようになったのだと。


「祝福?」


 なんだか胡散臭い気がして思わず聞き返します。

 だってあの神殿が授ける祝福なんて……、でも、今はライ大神官様がトップなのだから違うのでしょうか。


「なんでも、その土地や建物を使う人、住む人が幸せになって、健康で喜びに溢れた人生を送れるよう、神殿の神官様方が祝福を授けてくださるんですって。立て直しや退去を命じられる人も多くて最初は大変だったけど、今はみんなそれが当たり前になってるわ」


「それは……いつからなのですか?」


「いつからだったかしら。確か7、8年くらい前だったと思うわ。国王様が勅令を出されたの。お亡くなりになった当時の大神官様がひどく反対されていたそうよ。でも王太子様やその側近の皆様のご実家が立案されて、王太子派の貴族や若い神官様方の後押しもあって実現されたんですって。大神官様はそれからしばらくして具合が悪くなられて、お亡くなりになるまで寝たきりになったそうだから、きっと相当悔しかったんだろう、ってみんな噂してたわ」


「そうなのですね……」


 使う人や住む人が幸せになる、健康で喜びに溢れた人生を送るようになる祝福。


 確かに神殿で神官が学ぶ魔法の中には、治癒魔法の他に結界魔法や保護魔法などがあります。

 それを祝福と言っているのでしょうか?


 通りには花屋やレストラン、カフェや小物を売っているお店など、巻き戻る前とは比べ物にならないほどたくさんの種類のお店が並んでいてとても華やかです。

 それに、見る限り働いている人や通りを歩く人も皆、楽しそうで幸せそうに見えます。


 祝福のおかげ、なのでしょうか。


 以前、聖女としてこの通りの商会へ派遣されたときは、どこか暗い印象で人々はみな難しい顔で辛そうにしていたように思います。

 そこであった商会の主人や地位の高い雇い人たちは冷たい表情で、人としての心を失っているような行為が目につきました。


 祝福が何かはわかりません。


 でも、追い詰められたような様子の人が減るなら、それはきっと良いものなのでは、という気がしました。












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