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第22話 業火の中

ドルゼは槍を地面に差し、ダルそうに話す。

「なんで死にかけのテメェに全力を出さないといけねぇんだ? あ?」


そういうのは最もだ。

今の今まで圧倒していたのはドルゼであって俺ではない。

だが ここから戦うのは俺ではなく成神ナルガなのだ。


ドルゼの態度に成神ナルガは頷く。

「ふむ そうか」


成神ナルガはドルゼへと手の平を向けた。

「ならば見るまでの価値もない 出し惜しんだことを悔やみながら散れ」

手の周りには火球が幾つも浮かび上がり、それが槍の形状へと変化する。


「―――…なんだよ! それは!!(ただの火の魔法とかのレベルじゃねぇぞ!!)」



ドルゼは成神ナルガの放った火の槍を避けるため再び閃光の如く村中を駆け回った。


避けると村の家屋に当たり村全体すぐに燃え広がった。


「どうした? 逃げてばかりではおれを殺せんぞ槍使い!!」


「抜かせ!!」

ドルゼは家から家へと跳躍する。

並大抵の者なら速すぎて目でそのスピードは追いきれない。


成神ナルガ欠伸あくびをしながら飛び回るドルゼの反撃を待った。


目くらましには興味がない



ドルゼは先にエルトが無くした片腕の斜め背後を取る。

そうすることで反撃が一手遅れるからだ。

「――――もらった!!!」

成神ナルガに向け 逃げ回りながら溜めた魔力

そのありったけを込めた一撃を放った!!


「ふむ 腕がない方から狙うとは余程必死とみえる」

だが槍は成神ナルガに届くことはなかった。


「なに… お前!! 腕を!!」

腕の切られた箇所から筋線維を伸ばし、槍に絡みつけるようにして攻撃を止めていた。

「さて どうする? 逃げ場はないぞ」


「ボケが!! 逃げ場がねぇのはてめぇだよ!!」


地面に三十㎝程の黒い空間が地面一帯にまだらに広がる。

その空間から槍が飛び出して剣山のように上空へと伸びた。


「転移と増幅系統を組合わせたものだな―――くだらん」

成神ナルガは腕の皮膚を再生させ全ての傷口を完全に感知させる。


「な、なんだよ それわ!!」


成神ナルガは自身に向かってくる無数の槍を足の側面で受け止め、草を踏むようにしてかいくぐっていく。

「くだらんくだらん こんな物で小僧が瀕死とは―――」

槍を足で蹴って傾けて即興の椅子を作る。

その上に腰掛け、座りながら成神ナルガは言う。

「さて 槍使い 貴様はスピードに自身があったな」


「あ? だから?」


手に集めた小さな風を解き放ち、槍を含め町の家ごと吹き飛ばした。

「今からおれと試してみるか?」


「――― いいぜ その余裕面を泣きっ面に変えてやる!!」


何を考えたのか 少し間があいた。

意地やプライドが邪魔したのか直ぐに勝負にのってきたドルゼ。


「言うではないか」


距離を取ったドルゼ。

「おれが今からすることをお前は驚愕することになるぜ」


成神ナルガの前ではその距離はゼロに等しい。

一瞬にしてドルゼの懐に入りこみ、強烈な拳を叩き込んだ。


「おぇええええグッ!―――ぇええ!!!」

内臓が ぐしゃっ と破裂する音が聞こえた。

ドルゼは業火の中へと飛んでいく。


その最中に体勢を整えようと木の柱で勢いを殺した。

「ーーーま…‥まだまだ!! え!?」


飛んでくるドルゼを成神ナルガは下へ潜りこみ腹目がけて殴りつけた。


ドガン!と轟音が響き業火の中から上空へ飛ぶドルゼ。


成神ナルガはドルゼの更に上空に周りこみ、顔面に蹴りをめり込ませ再び地上へと戻した。


「ぎ ぎ ぐぇぇおぇ」

びちゃぐちゃとドルゼの血が大量に流れ出る。

腕や足が折れ、内臓も潰れ、顔も半壊しつつもなんとか槍にもたれかかりながら立とうとするドルゼに

「面白い かつての世界でもそこまでしておれに向かってくる者はそう多くはなかった」


「……おぇッ…はぁ…―――」

ドルゼは全魔力を込め、槍を成神ナルガに向けた。


「貴様の執念に意を表して、おれも能力を使用してやろう」



一瞬だった。


先に動いたのはやはりドルゼ。

―――『転移槍/百錬!!』―――

成神ナルガのいる空間、半径十メートル

そこには無数の黒い空間が出現し成神ナルガに向けて槍が飛び出した。

その数、百!!

魔力が込められた無数の槍が四方八方 空間から襲い来る。

すべてが死角。


だが成神ナルガの有利は覆らない

―――『禍絵ノ鏡寿』―――


成神ナルガの周りから鏡のような光が多数出現した。

そこから反射の光が発せられ出現した槍は消える。


その瞬間、ドルゼは虫食いにでも食べられたように穴だらけになっていき体の大部分が消滅した。

ポツンと残された肉片。

それだけでは人だったかどうかすら判別出来ない程だ。


ドルゼの微かに散らばる肉片を踏みながら成神ナルガは歩いていく。


「さて、次は男一人と 女二人 だな」


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