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第20話 追手

まさか追手なんて、…当然といえば当然か


成神ナルガのつけが回って来たな。

エネも横にいる。

できれば戦闘になるのは避けたい。


すると屋根の上の男が

「あれ、お前エイタのとこのやつじゃねぇか」

ニャイナに言った。


知り合いか?

ニャイナの方を見ても男のことをよくわかっていない様子だが、


「あいつらがいねぇってことは、今は依頼じゃなさそうだな」


「ニャにって! 誰か分からないけどあなたには関係ないでしょ」


「いいや それが関係大ありだね あいつらがいるなら今回の依頼は迷いどころだが、……いねぇならーー」

男が閃光のように一瞬にして消えた。


《小僧、上だ》

成神ナルガの声が頭に響いた。

その瞬間的に俺は心錬成した。

「スリー・ラ・ゾルテ!!!!」


スリー・ラ・ゾルテ それは俺が現時点で持ち得る最強の盾魔法だ。

心錬成することで任意の方向に3枚の半円を重ねた魔法陣による盾を出現させることができる。


「エルトさん!!!」


この限界に近い心錬成は大幅に俺の魔力を消費させてしまう。


「やるねぇ! ガキ。俺の一撃を防ぐとはな!!」


「ッ‥‥」

何が防いだだ。

今の一撃でスリー・ラ・ゾルテは半壊し残り1枚となった。


だが俺自身も防いだと思ったのが甘かった。


なんで追手はあいつだけだと俺は思ってしまったんだ。

「!!」

俺のすぐ横にはもう一人の男が大型の大斧剣を振りかぶっていた。

「っちーー!!!」

半壊しているスリー・ラ・ゾルテを真横へ移動させ大斧剣を防ごうとしたが


「そんなんで耐えられる訳ないぞ!! 若造」

あまりの威力に残りのスリー・ラ・ゾルテが破壊された。

「くそッ―!!」


大斧剣は盾を破壊しても勢いは落ちない。

「こいつ!!」

(俺ごと後ろにいるエネを全力で叩き切る気だ!)

慌てて心錬成で即興の盾を作ったが意味もなさない

盾が崩壊し男の大斧剣が俺の胴体に迫った。


『――――――巻き起こせ!! サンド・ザ・シルフォン!!!』


男2人の動きが止まる。

「―――オわッ 風がァ!!」「っち、目くらましか。やっぱ魔女は厄介だな」



ニャイナの魔法により風で砂が巻き上げられ目くらましになった。

その隙をついて魔法の風に包まれた俺とエネは、ニャイナが操る風と共にその場から離れた。


「逃げても無駄だ すぐ追いついてやるぜ」





俺とエネ、そしてニャイナは少し離れた家の中に避難していた。

「ニャイナ、ありがと 助かった」


「いえいえ! エネちゃんは無事ですか?」


「―――あぁ。無事だ。さっきので気絶してるみたいだけど、怪我はなさそうだ」


「ほッ… 良かったです。―――…え!? ちょ、… エルトさん!!腕が…」


「あぁ、さっきの一撃で腕が吹っ飛んだからな」


「え、あ、え、すぐ手当しないと!! はやく医者に見せなと…どうしたら ……」


あたふたしながら涙を流すニャイナ。

当の俺は感覚が麻痺して今は腕の痛みはない。


「私が助け出すのが遅かったから… ごめんなさいごめんさい」


「そんなことないさ 助かったよ ありがとう」

俺はすぐに止血を施した。

血を流しすぎたのもあって意識が朦朧としている。

それでも‥

「‥‥ニャイナ  ‥‥エネを頼めるか?」


「え… また こんな時にそんなこと言って」


「今はわがままに付き合っている場合じゃないんだ。頼む!! お前達の命がかかってるんだ」


「……」


「ニャイナ!!」


「……わかりました。でも… エルトさん。絶対に死なないでくださいね」


「あぁ」


「死んだら私 怒りますから」


「任せろ」


ニャイナはエネを抱えて裏口から出て行った。


あいつらの目的は俺だ。

2人を巻き込む訳にはいかない。


俺はやつらと戦うため正面から出ていく。

慢心しながら外で待ち構える男は少し驚いた表情を浮かべた。

「お、まさかその怪我で自分から出てくるとは言い根性してんなガキ」


一人しかいない。

もう一人は…

まさか  


焦りと緊張がよぎる。



俺の視線を察知した男が

「何キョロキョロしてんの ―――あ、もう一人のやつか? お前みたいな死にぞこないわ… いらないんだとよ」


「‥‥‥」

まさか、帰ったのか?

こいつだけなら何とか…



「生きのいい女二人を狩ることにしたらしいからな」



その言葉を聞いて俺の中の血管が沸騰した。

残りの片手で心錬成した短剣を掴み、男に向けて全力で走った。


「うぉおおおおおおお!!!!!」

はやくこいつを…!! 


絶対にニャイナとエネを助ける!!

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