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第19話 温泉と天井

宿について部屋に置いてある荷物からタオルを取り、この宿自慢の露天風呂に向かった。

入る前にニャイナから

「エルトさん …覗かなでくださいね」


「いや覗かないだろ」


「にゃはは、じゃエネちゃん行こっか」


挿絵(By みてみん)





ホント騒がしいな。

「ふぅ‥‥」

でも、そのおかげで助かってるし、救われてる部分もある。


旅がこんなに楽しいもんになるなんて思ってなかった。

「はぁ~」


もし成神が出てきそうになって2人に危害が及びそうになるのなら俺は命に変えても必ず止めてみせる


俺は露天風呂に入りながら星空を眺めた。

「違う世界でも空は変わらないな」


違う国では戦争をしているのに ここは平和だ。

隣の女性用露天風呂からはキャッキャッと二人の騒がしい声が聞こえてくる。

元気だな。


「エルトさ~ん! いつでも登って見てもいいですよ! こういう時のお約束なんですから!」


「しないよ」

一人で入ってるのに入ってない気がする。


「さっさと上がって寝るか」


さっぱりとした気持ちの良い温泉だった。

身体の芯から温まる。


「また朝風呂にでも来ようかな」


上がって用意された着物に着替えていると


「ん、あなた先程の」


更衣室で 寝ず離任窯のお店の店主と偶然の再会

「まさかここでもお会いするなんて」

思わず話し込んでしまった。


それから数時間‥‥

料理の話で盛り上がってしまった。

やはり食材から調理まで奥が深い



もうこんな時間か

「すこし遅くなったな」

俺が部屋に帰ると既に二人は爆睡していた。


「はは、2人とも疲れたんだな。さて、寝るか」

似た者同士の2人に布団をかけて俺も眠りについた。


次の日

「エルトお兄ちゃん 起きて」

小声で話しかけてくるエネの声で目を覚ます。

「んーーどうした? まだ はやくないか?」

時計を見ると

「…夜中の2時」

早起きなんてレベルではなかった。

まだ深夜だ


「なんかね声がするの」


「声?」

辺りを見渡すとニャイナはまだ気持ちよさそうに爆睡していた。

ニャイナのいびきかと思ったけど違うっぽいな

「エネ 声はまだ聞こえる?」


「うん 外の方から」


「そうか エネおいで 絶対俺が守ってやるから」

俺はなんとか怖がるエネを落ち着かせようとした。

(こんなこと初めてだ 怖い夢でも見たのか?…)


しばらくしても震えが止まらなかったエネが

「お兄ちゃん」


「どした?」


「声がね、今 部屋の上から聞こえるの」


「…え」

俺は天井を見上げた。

すると


そこには黒い人のような顔をした化け物が張り付いていた。


俺とエネはあまりの恐怖と突然の出来事に声を上げることすら忘れていた。

(あ… あ、ああああああ)


その黒い化け物はよく見えないが、口は胸についていた。

大きく口がガッパと開き微笑んだところで、何故か俺とエネは気を失った。



挿絵(By みてみん)



翌朝

「ん‥‥」

鳥の鳴き声で目覚める。

「あ‥」

俺の体には異常はなかった。

「夢…なのか?」

横を見ると呑気に寝てるニャイナとエネ。

俺もエネ、それにニャイナも三人とも無事だ。

特に変わった様子もなさそうだ。


「はは‥‥ なんて変な夢見てんだ‥‥」

俺は気になって

昨晩の夢? でヤツが居た天井を見上げた。


すると

昨日までなかった手形のような黒い染が天井にべったりと貼りついていた。


ゾッとした。

「夢じゃなかった」


気味が悪かったが、エネを怖がらせてしまうので深夜の話はニャイナには伏せておこう。


俺達は身支度を済ませ宿を後にした。


一体あれは何だったのだろうか。


俺達一行はジェルタ王国を目指して村を出て次の村に向かっていた。

道中ニャイナが悔しそうに口を開いた。

「あぁー 結局幽霊見れませんでしたね~残念です」


ニャイナの余計な言葉でエネの笑顔がギクっと強張った。

「どうしたのエネちゃん」


「んーなんでもないよ ね、お兄ちゃん」

こっちに向くエネの顔がぎこちなかった。


次の目的地の村からジェルタ王国まで徒歩で半日程の距離にある。

「さっき通りすがりの人に聞いたんだけど、次の村からジェルタ王国まで徒歩で半日くらいらしいから、泊まって次の日はゆっくり行けるな」


「ですね! 早起きはわたし苦手なので有難いです!」


「毎度のことながら急いでないけどな」


「じゃ もっとゆっくりしましょ〜よ」


「なまけすぎるとしんどくなるぞ」


「はーい 気をつけます エネちゃんが」

エネは突然の変化球でびっくりした

「えぇ!! ニャイナお姉ちゃん‥‥ 大人じゃない‥」


「ニャニって! えぇ!そうですとも大人じゃニャいですとも!」

ふふんーと胸をはり存在を誇張するニャイナ。




和やかな会話。

目的を忘れた訳ではないが この2人がいると旅がとても楽しいものになった。

最後の時が来るまで続けばいいとさえ思った。

けれどこんな旅はずっとは続かなかった。


うかれていた俺は、次の村で思い知らされることになる。




「お エルトさん! エネちゃん! 次の村が見えました!」


2日程かかり俺達は次の村へと到着した。

「なんか この村おかしくないか?」

村には人がいる気配が全くない。

ニャイナも村で人を探すが

「あれ~誰もいませんね~  おかしいな~」

誰一人見当たらない。


「どういうことだ?」


何日か前まで人がいた形跡はあるけど


「ホントに人が誰もいないですね~エルトさん これは宿に泊まり放題ですよ!」


そんなことを言っているニャイナとは裏腹にエネがピッタリ引っ付いてくる。

何かに怯えているようだった。

「大丈夫か? エネ」


「うん 大丈夫」


あちこち家を覗いたがやはり誰もいない。

「なんか気味が悪いな」


‥‥‥


「そりゃ お前を待ってたからな!」

屋根の上から男の声が聞こえてきた。

「いや~、あの村では守り神のせいで手がだせねぇからちょっくら先回りさせてもらったぜ」

白い特殊スーツのようなぴっちりとした服を着た男。

手には黒い槍を持ち 屋根の上に座っていた。



こいつ‥‥一体

「お前は?」


俺の問いに男は笑みを浮かべて話す。

「オレか? 言うなればルブレカの追手ってところだな」

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