第15話 同行者
俺とニャイナはジェルタ王国を目指すため、谷を上る。
「はぁはぁ―――…」
まだか次の村は…
険しい道のり 体力の消耗が激しい この辺の酸素が薄いせいか?
「エルトさん! はやくはやく!! 日が暮れちゃいますよ~」
「ちょ… 自分は魔女で箒に乗ってるから楽だけど…」
なんとか根性と意地で谷を上りきった。
どっと疲れたな
なんか久々に体を酷使した気がした。
「はぁ、はぁ…」
「あれ~ エルトさん疲れてます?」
「はぁ… ッ疲れてないように見えるか?」
「ううん! もう! はやく言ってくれたら箒に乗って頂いても良かったんですよ」
「お前… はやく言えよ…――はぁ」
山を越えしばらく平坦な道が続く
「エルトさん ニャにか嬉しそうですね!」
「そりゃな ま、楽してたやつには分からない喜びだけどな」
「あー 根に持ってますね! ダメですよ」
これほど普通の道が嬉しいと思えるなんて
まぁより疲れた原因としては急かされたせいでもある
「大きな森ですね~ この先がジェルタ王国でしたっけ?」
俺とニャイナはジェルタ王国まで広がる大森林を進んで行くと大きな湖があった。
「おお!! 湖!! 凄い綺麗ですね。透き通ってますよ~」
「はしゃぎすぎて落ちるなよ。―――!?」
「どうしました?―――ん?!」
その湖の真ん中には小さな女の子が浮いていた。
けれど
不思議なのは水の上じゃなく空中に浮いていたことにだ。
「あー あれは精霊ですね!!」
ニャイナが目を細めながら答えた。
俺にはよく分からないが森の精霊? らしき者達がその子の周りを飛んでいるのは肉眼でも確認できた。
まるで蛍のようだ。
「わぁ びっくりですね」
「この世界でもあんなことは珍しいのか?」
「うーん 精霊はそんなに珍しいことじゃないんですが 中身のあれは別ですね」
「別って?」
ドドドドドドドドド!! と湖の水が渦を巻出した。
「なんだ?」
その渦が竜巻のように上空に巻き上がり、こちらに向かって突っ込んできた。
「下がれ ニャイナ!」
俺は心錬成で渦巻く水の塊を斬り裂いた。
咄嗟に防いだけど、全身がびしゃびしゃだ。
横を見るとニャイナの姿がなかった。
「ニャイナ?!」
「ニャイってーーーー!!」
ニャイナは俺が斬った水の残り玉に弾き飛ばされて目が回り倒れていた。
「大丈夫か!?」
「……ニャ~イ~」
ほっ
大丈夫そうだな。
じゃ、まずはこの場を何とかしないとな。
「あの子……」
見るからに宙に浮かぶ女の子は意識がない。
精霊に操られているのか?
力が暴走しているのか?
分からないけど助けないと
あのままにはしておけない
女の子は湖の中心に浮いている。
「さて、どうしたもんか…」
あの子を助けようと中に入れば身動きが取れず、先ほどの水の塊にやられる。
これは……
剣を錬成した瞬間に足場にして踏み越えていくしかないな。
錬成しつつ水の塊を斬り開き、止まらないよう辿り着くのは至難の業だ。
けど
「やるしかない」
頭に声が響いた 成神の声が――
《面倒くさいことを 我が手を下そうか?》
(お前は見ておけ 俺がすぐに終わらせる)
成神には絶対に体を明け渡させる訳にはいかない




