第12話 覚悟
この惨状を、現実を知らしめたいのか成神は俺に体を明け渡した。
「ぅ…… ぉええ」
理解できない
なんで…… ぅッ
嘔吐し、収まった時には再び嘔吐した…
時間が経ち何とか立ち上がることができた。
俺は意識朦朧としながら転がる死体の中を歩き、城の外へと出た。
「……」
城の外も同じ惨状だった。
そこにはさっきまで生きていた人達の姿は変わり果て、姿はまるで絨毯のように、ドス黒くも濁り、真っ赤に敷かれていた。
俺は考えるより先に体が動いていた。
「……――――――あぁあああ!!!!!」
双剣を心錬成し俺は自身の喉元に刃を突き刺した。
はずだった‥‥
《何のつもりだ?》
「ぐっッ―――」
刃が首の皮一枚に達したところで強制的に体が止まる。
《自死の禁がある限り貴様は己で命を絶つことはできん》
成神の声が頭に響く
だけど
そんなこと言われたって
納得も何もできない!!
「俺は… こんな事をする為に旅して来た訳じゃない!!」
《それは貴様が決めることではない。―――我が決めることだ》
俺の目から自然に涙が流れた。
「くそ… ―――くそ!!!」
自身の過ちの報いも、何もかも償えないことが悔しい!!
どうにかして死のうと、小さな抵抗をしていると
「ぐッぁ、がッ!!」
成神が俺の魂を掴み、力を入れた。
感じたことのないような苦しみ……
《自死の禁があるとはいえ、我に刃を向けたということは変わらない 次はないと思えよ小僧》
「はぁ―――はぁ―――……」
成神の声が聞こえなくなってから俺はしばらくの間動けずにいた。
バタン と俺は地面に倒れた。
目が霞む‥‥
何も出来なかった、止められなかった。
拳を握りしめながら、アルや以前の世界で目の前で死んでいった人達との日々を思い出す。
「ッ――あの頃と俺は…… 何も変わっちゃいない!! 俺は、誰も救えない… なんて無力だ―――」
何もする気がおきない。
このまま起き上がらずここで死にたかった。
だが、ここで止まることは成神が許さなかった。
「貴様がこれ以上、動かず 旅を放棄するなら我はそれで構わぬ 壊れた車は乗り捨てよう。短い間だったな」
やっと自由になれる。
そう思った。
けれど
頭の中を走馬灯が駆け巡った。
お世話になった人。助けた人。戦った人。俺に笑顔をくれた人。大切な人たち。
―――――『それは無責任だよ』―――――
そう 言われた気がした。
「待て、成神!!」
俺は成神の言葉に反論した。
「―――、俺は 旅を続ける!!!」
俺が消滅すれば、こいつは眼につくものを皆殺しにする。
そんなことはダメだ
まだ俺にもできる事がある。
やらなければいけない
被害者を増やさない為に俺にできること、それは‥‥
「お前の望み通り俺はこれからも旅を続ける
俺をみくびるなよ 成神」
《おもしろい それでこそだ 人間―――》
とりあえず今はこいつ(成神)の思惑に乗ってやる。
そのためにもまずはジェルタ王国を目指す。
一度目は人を救うために捧げた人生。
そして二度目
俺は……
二度目の人生の目的、いや、覚悟が決まった。
―――俺はこいつを、【成神】を殺す―――――




