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しいなここみの交通エッセイ

渋滞はなぜ起きるか

 道路を走っていると、急に流れが滞ること、ありますよね。

 また、いつもこの道は渋滞するなあ、みたいなポイント、ありますよね。


 あれはなぜ起きるのか?




 さてそもそも渋滞の原因は何か?


 色々あるように思われるかもしれませんが、実は一つだけです。


 結果から言いますと、それは『速度変化』です。


 これについて客観的な実験結果に基づく話を基に、自分の日頃思っていることを書かせていただきます。





 事故や工事があれば渋滞が起きます。

 それはそこで大きく速度変化が起きがちなためです。

 事故や工事が原因で渋滞になるわけではありません。

 3台の車が工事で車線減少しているところをうまくペースを合わせて通過すれば渋滞になりませんが、

 先頭が怖がって必要以上にスピードを落とし、2台目が先頭にぶつからないよう距離を置いてブレーキを踏み、そのため先頭よりも遅くなった2台目に追突しかけて3台目が停止してしまえばそれは立派に『プチ渋滞』とか『渋滞の芽』とも言えるものとなります。




 制限速度で走っている車が先頭にいても渋滞にはなりません。単に制限速度で流れる車列が出来るだけです。……の、はずですが、実際には渋滞まで育つことはあります。これについては後述します。


 近年ニュースになった10km/hおじさんが先頭を走っていれば確実に渋滞が起きます。そんな低速で走っている車がいるのは想定の範囲外だからです。追いついた車が大きく速度変化を作ってしまうのです。誰でもそれは仕方ないことだと言えるでしょう。



 また結論から言います。渋滞を作るものは速度変化であり、それを大きく育ててしまうのは『ペースを合わせることの下手な車』です。


 先に問題点から明確にしましょう。ペースを合わせることの下手な車というのは、『前の車よりも遅くなってしまう車』のことです。


 私は普通に走っていれば前の車よりも遅くなるということはまずありません。前の車よりも速くなるか、同じペースになるか、それしかあり得ません。




 長くならないよう、この問題に関して私が『最も問題だ』と思っているような車の話だけをしましょう。


 それは『アクセルを踏みすぎる車』の話です。


 アクセルを踏みすぎる車といっても、必ずしもブッ飛ばしている車がのことではありません。その道路が平均速度10km/hで渋滞しながらもノロノロと流れている時、そこで15km/h出す車はアクセルの踏みすぎです。


 とはいえ平均速度を見切るための便利なスカウターみたいなものがあるわけではないので、こういうことを言うのは小うるさいと思われるでしょう。


 要は車間距離を適度にとって、先の先まで見渡してリラックスして運転していれば、アクセルを踏みすぎるということはそうそうないというだけの話です。





 さて私は日頃から道路を走っていて、不思議に思っていることがあります。


 たとえば高速道路で私が走行車線をひた走っている時、

 私が80km/hちょいで走っていたら、追い越し車線が85km/hぐらいで行列になったとします。

 行列の最後尾が私のすぐ右前にあるとします。

 そこへ追い越し車線を延々と走って来た車が追いついて来た時、ほとんどの車が追いつくなり、走行車線の私よりも遅くなるのです。


 推定速度75km/hぐらいになる。

 前は85km/hぐらいの行列なのに。


 なぜ、こんなことが起きるのか?


 追いついて来た車が前の車にぶつからないよう『車間距離を取り直している』からです。


 車間距離を取り直すということは、前の遅い車よりも遅くなるということです。


 こういう車が連続すると、75の後ろは65になり、その後ろは55になり、後ろの後ろのほうは止まってしまうということになります。


 まぁ、実際にはこんなことにはならないでしょうが(笑)、

 しかしこれこそが『渋滞の芽』なのです。





 信号待ち等で停止している車列に追いついた時、

 ふつうはどうしますか?


 速度を徐々に落としながら近づいて行き、

 前の車の直後でようやく止まりませんか?


 前の車よりも遅くなるなんてことはあり得ないはずです。

 スムーズに減速しながら近づいて行き、適度な車間距離まで接近したら速度を合わせる(停止してる場合はもちろん0km/hになる)のがふつうです。

 これと同じことが、なぜ走行中にはできないのでしょうか?


 停止時でいえば、それは停止している車の直後まで行き、跳ね返されるようにバックするみたいなものです。


 そんな不自然な動きをする車が連続すれば、それは道路上に『渋滞』という異常現象が起こって当然だといえます。



 とはいえ10km/hおじさんが先頭を走っていたらどうしたって渋滞にはなります。

 たとえみんなが車間距離を空け直すなんて不自然なことをしなくても、スムーズにみんなが追いついたとしても、10km/h巡行はそれだけで渋滞といえてしまうからです。


 ですが、制限速度で走っている車が先頭にいても渋滞は起こり得ます。

 追いついた車が全員車間距離を空け直したら、前述した通り後ろになるほど速度が遅くなり、車間距離も詰まってしまうのはもちろん、

 先頭の車が1人で速度差を作り出していても、渋滞になり得ます。

 ペースが30km/hになったり70km/hになったりと安定しない車、たまにいます。

 こういう『後続をふるいにかけるように揺さぶる車』は、1台だけで渋滞を作ることのできる『渋滞メーカー』だと言えます。

 また、合図の遅い車も同様です。

 いきなりブレーキを踏んでからウィンカーを出して左折されても、後続は対処に困ります。

 ウィンカーを早めに出して、後続に速度変化することを前もって伝えることで、後続もふんわりと対処できるのです。

 せっかく前が早めに合図を出しているのにペースを合わせず突っ込んで行ってブレーキを踏む車ももちろん問題です。




 冒頭に書いたことの答になりますが、渋滞するのは速度変化が原因です。


 遅くなった前の車よりも遅くなってしまう車、

 1人で速度変化を作って後続をふるいにかけるように詰まらせる車、

 合図を出すのが遅くて後続にふんわり対処をさせられない車、

 前車がウィンカーを出していて速度変化が予測されるのにその後ろに突っ込んで行ってブレーキを踏む車、

 これらが渋滞を作り出しています。


 これに対処する方法は何よりも適度な車間距離と、予測運転です。


 これについてはまた書くことになると思います。



 なるべく可能な限り、速度変化に気をつけて運転し、渋滞を作らないよう、既に渋滞していたらそれを悪化させてしまわないよう、気をつけましょう。


 前の車が踏んだ急ブレーキをゆるやかな速度変化に変換させられるよう、車間距離を適度に取り(←ここが誤解されやすいのですが、それについてはまた後で)、常に予測を働かせながら。


 お願いしますm(_ _)m



私が交通エッセイシリーズをなぜ書き続けるのか、その理由を説明させていただきます。


自分は上手いと思っていて、それをひけらかしたい……のではありません。


こんな運転は下手くそだ! と、叩いて優越感に浸りたい……のでも、ありません。


私の言う通りにしろ! と、命令したいわけでもありません。


ただ読んで内容を理解していただいて、少しでも考える材料になってくれればいいなと思うだけなのです。


反論してもらっても、笑ってもらっても、構いません。


ただ日頃車を運転していて公道はカオスだなと思っているので、1人でも多くの方がそのことに気づき、車の運転に興味をもってくれたらいいなと思うだけです。


ちなみに私は年間約20万kmを9年近く走り続けています。


ここに書いてあることはそのため事故を起こさないように学んだ客観的な知識と、実際に経験しながら身につけた自分の知恵によるものです。

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― 新着の感想 ―
[一言] しいな ここみ様 いつもながら、すごい分析! 感服しております<(_ _)>(*^-^*) 渋滞って、渋滞のもとになっている人にはあんまり自覚がないっていいますよね。わたしも渋滞引き起こ…
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