『路地裏の出会い』~見つけた~
~健一~
「なんとしてでも!!この男を見つけ出せ!!」
響く怒声、俺はその声をスルー、もし今しゃべれば確実にやつにやられる、ここは耐えろ。
「説明してくれるかな健ちゃん」
怒気がこもった声で、俺の前に仁王立ちをしている鳴海を見上げる。俺のほうが背が高いのに何で見上げるか、それは俺が正座をさせられてるからだ。おまけに廊下で。
あの生徒会長の写真で俺だとわかった鳴海を恨む、なんで何年も前に見たきりの俺の眼鏡ないバージョンの顔を覚えてるんだよ、そろそろ足痺れてきた。
「えっと、だから、、、」
それから鳴海の蹴りを入れられながら、生徒会長を助けたときのことを丁寧に話した。てか痛かった、俺の脳が揺すられた。
「ていうか、もうけるのやめろ、俺が馬鹿になったらどうする」
「もともと空でしょうが!!」
また蹴られた。ていうか空は無いだろ、俺だって・・・
『もう、カイはもっと自分のこと考えて!!』
「・・・・・」
何考えてるんだ俺は、もう忘れなくちゃいけないのに。最近よく昔のことを思い出す、何かの予兆だろうか、今の俺にはわからない。
「ちょっと!聞いてるの!!」
でも、今このときを大事にしたい、でも、俺にその資格は無い。悲しいことにな・・・。
「ごめん」
一人になりたい、どこかで、どこでもいい早く・・・・一人に・・・。
「一人にしてくれ」
「あんたね・・」
鳴海は俺にまだ何か言いたげだったが、俺はすぐにその場を去った。
~???~
あの方はどこの誰なのだろうか?解るのは、彼の着ていた制服が私の学園と同じものだということだけ、学園の生徒会長ともあろう私が、名前を聞きそびれるなんて、こんな失敗をするなんて初めて。
それほどまでに、衝撃的だったのだ。
であった瞬間、雷に打たれたような衝撃が、私を襲った。はじめてのことだった。これを恋というのだろうか、一目惚れと言うのだろうか、とにかく、私はその人を忘れることができなくなった。だから、探した、でも見つからない、学園中を探した、それでもだめだった、生徒にも呼びかけて探している、いつか見つけたい、彼を。
「あれ?開いてる」
気分転換に屋上に来た、いつもは鍵がかかっている屋上の鍵はなぜか開いていた、誰かいるのだろうか。慎重に扉を開ける。
しかし、そこにはだれも居なかった。
「もしかして」
私は、今出たドアを振り返り、地面を蹴った。私の体は簡単に持ち上がり、扉の分出っ張った地面の上に着地する。
そこには、一人の少年が居た、眼鏡をかけていて、これといった特徴は無い、あるとすれば、そのきれいな黒髪くらいだろうか。しかし、なぜか気になる。私は彼に近づき傍らに立つ。
見覚えがある、なぜかそう思った。気になって彼をジッと観察していた。
「あっ!」
私は彼の眼鏡に手をかける、そして、その眼鏡を起こさないように慎重に取り払った。
ヴォォォォォォ
一厘の風が吹いた。私は、また眼鏡を彼にかける。
やっと見つけた。
その次の日、私は、早くも彼の捜索を中断させた。