『路地裏の出会い』~生徒会長~
~健一~
「いてて、もっと優しくしろよ」
鳴海の理不尽な暴力を受け、負傷した俺は司に手当てをしてもらっている。保健室でもいいのだが、あそこにはトラウマがある。
「で、健ちゃん本当に何も覚えてないの?」
さっき俺を散々殴っていた張本人が、事件の日何があったかしつこく聞いてくる。それというのも、俺がその場の人間の記憶をきれいに飛ばしたせいだ。おかげで事件の真相はわからずじまい、逃げ出した俺なら何か知っていると思ったらしいのだが、俺が話すわけも無い。
「だから、何も覚えてないんだって」
しつこい、けど、強く言えない。怖いもの。
『ピンポンパンポン』
そんな時だった、あの放送が入ったのは。
『全校生徒にお伝えします。今から、講堂に集まってください。生徒会長から、大事なお話があります。繰り返します』
「何でしょうか?」
美琴が俺を見る、なぜ俺?どうせなら鳴海見ろ、鳴海を。
そんなこんなで講堂に向かう俺たち、しかしその間にも俺はいやな予感がして、行きたくなかった。しかし、怖くて断れない。ああ、無念。
講堂に着くと、ほぼ半分ほどの生徒が集まっていた。毎回思うのだが、この人数の生徒をどう正確に並べるのだろうか、絶対入れ替わっていても気づけないよ、普通の学校なら。でもここはそうも行かないみたいだ、生徒1人1人の場所に魔方陣が張ってある。一番手前のやつい入ると、自動的に自分の場所に行けるらしい。便利だ。俺が天界にいたころに、魔法が無い世界があったが、この魔法をその世界の人々に教えてあげたいよ。
いつの間にかみんな来ていた、鳴海たちとは同じクラスだが、結構遠いな、まあその方が俺的に安全でいいのだが、できれば俺より前にしてほしい、後ろのほうだとなんか見張られてるみたいで怖いよ。
「皆さんこんにちは」
そんな視線に耐えて舞台の上を見る、そこには眼鏡さんがいました、書記かな?
「それでは、次に会長からの連絡です」
眼鏡さんはマイクを会長らしき人に渡す・・・・・・・・・なんか見たことある。はじめは気づかなかったが、青い髪がきれいだな、目の青はもっと濃いや、ちょっと好みかも・・・・・うっ後ろから殺気が・・・・・。
「皆のもの!忙しい中よく集まってくれた、今回皆を集めたのは、探してもらいたい人物がいるからだ!!」
あれ?思い出してきたぞ、んんんんん・・・・・ど、どこであった、思い出せ・・・
『チュッ』
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・知らない、俺は知らないあんなやつ。、見たことも聞いたこともキスしたことも無い!!赤の他人だ!!
「皆のもの、これを見てくれ」
そこで降りてくるスクリーン、どこから出てきたかは聞いたら負けだ。とにかく降りてきたスクリーンにある人物の寝顔が映し出された。
その瞬間、講堂中の女子が黄色い悲鳴を上げた、ちなみに後ろからの殺気が何倍にも膨れ上がった、もちろん鳴海の。
「この者は私の命の恩人だ、しかし、不覚ながら名前を聞きそびれてしまったのだ」
いや、あんたが勝手に去っていった気がするよ、俺なんか悪い人みたいジャン。
「そこで、皆にこのものを探してもらうことにした、よろしく頼むぞ!!」
『オオオオオオオオオオオォォォォォォォ!!!』
『イエッサアアァァ』
『必ず殺ぉぉぉすううううぅぅぅぅ』
・・・・・・・・・・鼓膜が破れる、すごい雄たけびだ、それに物騒なことを言っていたやつがいた気がする。
まあ、とにかくこのあと鳴海に呼び出されることだけは間違いない。
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