『組織に入団』の章~厄介ごとはいつまでたっても厄介~
組織は次になってしまいました。
~健一~
今日は学園が始まって最初の休日である。そして神界管理局に行く日である。しかし俺はまだ健一のままだ、美琴の奴、俺のこと忘れてんじゃ。そんなことはないと信じよう、きっと鳴海が呼ばないようにと言ってるのかもな。ちなみに、ちなみにだが、この前美琴と約束した呼び捨ての件はこの前すっかり忘れていたせいで、おそらく2時間ロスしたな、今度から忘れないようにしよう。
そんなこんなでやることもない俺。とても暇なはずの俺、しかし、そんな俺にプレッシャーを与える存在がいた
(ジイイイイィィィィィ)
「・・・・・・・・・・。」
(ジイイイイイイイイイイイイィィィィィィィィ)
俺の監視役ことピークイが、監視のつもりなのだろう、さっきからじっとこっちを見ている。さすがに気まずい、なぜか朝起きたらこの状態だった、今日、悪夢を見た気がする。そういえば、こいつ俺の契約のこと知ってるのかな、怪しまれたり口を滑らしたらやばいからな。
「おいピークイ、俺契約してるから時々居なくなるけど、気にするな。」
俺はできるだけピークイから視線をずらし言った。・・・・・意外と威圧感があるんだよなこいつ。しかしピークイは無言、何も言わない。不安だ。こいつ、なんか嫌がらせで周りの奴らに言いふらしそう。不安でたまらなくなった俺はもう一度釘を刺すそうとし口を開いた。ちょうどそのときだった。
『アッ君、来て。』
美琴からの呼び出しだ、やっと来た。別に待ち遠しかったわけではないが、この空間から逃げられると思うと、飛び上がりそうなほど嬉しかった。俺の体は悪魔の鎧に包まれ、そして次の瞬間には学園の前に俺たちは居た。
~健一(アッ君)~
俺たちは居た。そう『俺たちが』居たのだ。当然このたちは美琴たちのことではない、なら誰か、それはもちろん奴しか居ない。
「美琴。なんか一人増えてない?」
「おかしいです。私アッ君しか呼んでないんに。」
「これが美琴の悪魔か。」
俺たちは3人にまじまじと見られる。俺の隣では、そんな状況にもかかわらず、顔色一つ変えない。もうここまで言ったらわかるだろう。俺がここに来る前に一緒に居たピークイだ。そのピークイが、なぜか俺の隣に居る、どうしてついてきたのでしょう、俺は君から逃げたいのに。泣いてもいいですか?
おそらく質問しても答えてはくれないだろうから、あえて質問はしないことにした、聞いたら負けだと思う。
「あなたは誰?」
ははは。鳴海。おまえは馬鹿だな、そいつがそんな質問答えるわけ
「ピークイ」
あったね。
すごく悔しいです。なんか勝ち誇っていた自分が恥ずかしいです。どうしてです。どうしてですか。俺の面はそんなに悪人面ですか・・・・・。
「ピークイ?変な名前ね。」
鳴海が言った。当たり前だ、人間界の名前と天界の名前を比べてどうする。鳴海はおそらくこの子が天界のものだなんて気づいていないのだろう、俺と一緒ってことは悪魔の類のものだと推測できると思うのだが、そんなものを鳴海に求めはいけない。鳴海は昔からそうだ、頭を使う前に行動。それが鳴海のスタイル、無鉄砲で危険だが、こんな鳴海は嫌いじゃない、というか憧れる、考えないでただ突き進む、俺にはできない。俺は何もかも考えてからじゃないと動けない、というより損得を先に考えてしまうのだ。だからいつも悪魔の餌になってっしまった人間を見殺しにしてきた、助けても特はないから・・・・・・・。でもそんな俺でも変わったのかもしれない、少しづつでも、美琴と契約した時みたいに・・・・少しでも『人間らしく』なれたのかもしれない。
「こいつはおまけみたいなものだ。気にするな。」
「っっ!!」
そんな俺の一言に反応するピークイ、少し怒らせたらしい。
「あんた、正体ばらすっすよ。」
本当に怒っていた。一応俺の正体立場を知っているらしい、調べたのだろうか?なら契約のことも知っていて俺の契約を少しいじり一緒に呼ばれるように設定していてもおかしくない。おそらく俺の予想は十中八九あっているだろう。だとすると、ここで逆らうのは得策ではない。
「このお方は私の監視役の天使様です。」
丁寧に説明した
「まあ、いいっすよ。」
難は逃れたか・・・・。
しかし、こんな会話を聞いて黙っていない人間がいる。
『(アッ君)こいつの正体?』
美琴と鳴海である。
「ねえこいつの正体ってどういうこと。ピークイ。」
まず質問したのは鳴海。予想道理といったところだ。というかそんなことはどでもいい、今はこのピンチをどう逃れるかを考えよう。今のところピークイは黙っているが次の瞬間には何を言うかわからない、早いうちに何とかしなくては。
「私も気になります!!。アッ君の正体。」
美琴まで探り始めた、おまけにピークイは言うか言わないか迷っている。まずい、何とかしてピークイから正体がばれることだけは防がなくては、どうしようか。しかし、このピークイがそう簡単に俺の正体をばらすとは思えない、おそらく鎌をかけているだけだろう、ならここはさりげなく話題を変えるのが得策だろう。
「そ、そんなことはどうでもいい。今は舞香との合流が先だろう。」
「・・・・・・・。」
無言。
俺は思うよ、この世でもっとも恐い言葉って無言だと。
俺の作戦は失敗に終わったかと思われた
「わ、忘れてた。」
「遅刻する!!」
がしかし。どうやら成功したようだ、これで何とかごまかせた。そして俺は学園に入っていく美琴たちについて行くのだった。
そのときピークイが笑いをこらえるのを見て殴り掛かりそうになったのは秘密だ。
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