番外編 それはある日の昼休み
ちょっと息抜き
~健一~
「はあああああ!!!」
思わず怒りを含んだため息を出してしまった。何でため息が出るかというと、すべては今朝の出来事のせいだ。あの後俺は何とかピークイを説得しようとした、おもに「若い男女が同じ屋根の下」なんちゃらとか「食費が」なんちゃらとか。でも彼女は
「命令っすから。」
の一点張り、聞く耳を持ってくれない。仕方なく俺は、彼女の同居を認めた。あくまでしかたなくだ。
そんなわけで、今俺は怒りやら呆れやらでため息をかいてるわけだ。それに、はじめこそあんなこともあって話しかけてくれたが、あれからはまったく話しかけてくれない、どうやら俺を警戒してるらしい。最後に発した言葉といえば
「僕は暴力には屈しませんっす。」
だった。
ちなみに朝食はどっかで勝手に食うらしい。食費はどうしてるんだろか。
しかし、そんなことがあっても、時間は進むものだ、あれこれ放してる間に登校時間はとっくに過ぎていて、今はおそらく4時間目、体育の時間、うまくやれば授業に紛れることができる。
結果から言おう、失敗しました。みんなの魔法の爆発にまぎれて張り込むはずだったんだが、そこで問題がおきた。
「ケンちゃん!」
俺の知り合いに見つかりました、しかも大声で呼ばれたため、先生どころかおそらくこの学園の20分の1の広さの中にいた者には聞こえたのではないだろうか。ちなみにこの学園は、見た目こそふつうの高校くらいの大きさに見えるかもしれないが、実際は空間を捻じ曲げてそう見せているのだ、本当の大きさはおそらく軽く東京くらいだろうか、はじめ俺もおどろいた。しかしまあ、人間の(悪魔だけど)適応力はすごいもので、もなれた。ああ、言い忘れたが、学園の生徒はみんなこの学園内の寮に住んでいる。
「おお、浅野。随分遅い登校だな。それも俺の授業に堂々と・・・・・・。」
そんな感じで失敗したわけで、校庭を強化魔法を使わずに30週やらされた。別にきついわけではないが、ここで苦しそうにしないと多分人間じゃないから疲れた振りをした。意外と振りって疲れるんだよね。そんなランニングが終わりちょうど授業も終わった。これからお昼だが、今日俺に昼飯を作る暇があるはずもなく、もち金も0
『ぐうううううう』
「ケンちゃん、ご飯まずくなるから黙って。」
そんな腹ペコ状態で突っ伏している俺の目の前では、
「ふん、なんでこんな平民2人に、鳴海と僕の食事を邪魔されなくちゃいけないんだ。」
「まあまあ、浅野君、気を悪くしないで。」
「いいのこいつは、そんなことより美琴を邪魔者扱いしないで、私にとってはシン、あんたこそ邪魔者よ。」
「照れなくてもいいよ。」
美琴(人間のときはマスターとは呼ばない)、鳴海、ナルシストが弁当を広げている。嫌味か!!
ここは屋上だ。そしてなんかみんな機能のことで会議中、しかも俺の目の前で。普通そうゆう話は部外者には聞かせちゃいけない気がする。
「あの、鳴海。」
「なに美琴。」
「浅野君が居るんですけど、いいんですか。」
そうだ、美琴も言ってるじゃないか。
「いいの、いいの、わかりっこにから。」
ひどい言われようだな、俺はどれだけ馬鹿だと思われているんだ。全部わかってますよ、そこに俺居たよ。そんな俺の気持ちは知らないのであろう、遠慮なく天界のこととか話してる。
「そんなことより、美琴。本当にあいつになんか変なことされてないでしょうね!!」
「ないよそんなこと!!第一、まだ2回しか呼んでないし・・・」
いつの間に俺の話題になっていた。
「なんだなんだ、何の話だ。」
これにナルシも加わる、昨日の話はしたが俺のことはまだだったらしい。てか俺鳴海に嫌われてんな、やはり中身の問題なのかな?
「呼ぶって、あいつって呼ばないとこないの?」
「そうだよ、アッ君は呼ばないと来ないし、そんなに悪い人でもないよ。」
ああ、でも美琴には好印象だったようで、ちょっと嬉しかったり。
『ぐうううううううううううう』
そんなわけで俺の空腹も治まらないまま昼休みは終わった。
次回。ついにエンジェルシードに・・・・。