『ナイツ?新しい生活』の章6
~健一(アッ君)~
「こちらに戦う意思はない。刀を下げろ。」
ありきたりな言葉、こんな言葉だけで刀を下ろすとは思えない、だからさらに言葉を続ける。
「俺は悪魔落ちだ。」
「なに?」
悪魔落ち、エクソシストになるなら、必ず知っている言葉だ。
エクソシストは、悪魔を殺すための組織であるが、悪魔落ちを殺すことは、固く禁じられている。それは、悪魔落ちがあまりにも弱い存在だからだ。舞香は一度美琴に目を向け
「・・・・・・。」
おとなしく刀を仕舞う。簡単に俺の言葉を飲み込んだ、普通は疑うと思うかもしれないが、エクソシストの特殊能力に、契約のパスを見ることが可能になる能力がある。この能力で契約者同士のパスが直接見え、俺と美琴のパスを確認したのだ。悪魔落ちは悪魔と違い、パスが薄いため、悪魔落ちを判別するのに便利なのだ。ちなみに人間バージョンの俺と美琴のパスは、美琴が俺を呼ばない限り、パスは遮断されるためばれる心配はない。
舞香が刀を下げたところで、また歩みをを進める。
「どこへ行く。」
「食事だよ。俺はあまり好きじゃないが、こうでもしないとすぐに死んでしまう。」
そしてもともと背中を上に倒れている悪魔に近づく。そして羽を掴み・・・・・一気に引く。
「きゃっ。」
その酷い光景に美琴は目をそむけ、鳴海は短く悲鳴を上げる。その中で舞香だけが、冷静にしている。
俺はいつものように、それをビー玉くらいの大きさにして、食った。
「食事は終わりか。」
悪魔はとっくに消え去っていた。
「ねえ。説明して。」
それを待っていたかのように、鳴海が質問してきた。
「マスター。」
「無視しないで。」
鳴海が半分怒ったように言う。でも今はさきにやることがある。
「マスター。命令を。」
さっきから美琴は怪我をしたナルシストばかりを気にしている。
「え・・・・!そうだ、シン君の怪我を治して。」
前の悪魔と今の悪魔で、俺の寿命はだいたい200年位になっている。そんなことお茶の子さいさいだった。
「オーケーマスター」
俺はすばやくナルシストを美琴の近くに移動させ、治療をかける。傷はみるみる癒え、今は眠っている。ここまで驚きながらも、静かに俺の行動を見守っていた鳴海が、もう我慢の限界とばかりに俺に質問の雨を降らせた。
「まず、なんで美琴が悪魔と契約してるの!」
はじめからすごいテンションで質問してきやがる。俺が答えようとすると、美琴がそんな俺を、自分の手で阻止し、自分が答えると、目で合図をしてきた。マスターの命令は絶対だ、別にどうしても俺が答えなくてはいけないわけではないので、黙ることにした。
「アッ君はね、今の鬼と同じような・・・」
「まて。」
話し出した美琴を止めたのは、舞香だった。
「さっきの生き物は、鬼とは違う。」
「え?」
美琴はやはり気づかなかったようだ。対して鳴海は、おそらくうすうすは気づいていたようだ、思ったよりも落ち着いている。
「さきのようなものは鬼ではなく、悪魔だ。」
「悪魔・・・。」
そう呟きながら美琴は俺を見る。
やめてくれ、その『知ってたでしょ』みたいな視線。
「それだけだ、続けろ。私も聞く義務がある。」
それはそうだ、なにせ下界の悪魔を取り締まるのがエクソシストの仕事だからな。
「わかりました。」
それでは改めましてと美琴が話し始めた。
「アッ君は、あの悪魔に襲われて、瀕死の状態の私をを助けてくれて・・・・・・・」
それから、美琴は自分が知っていることを必死に話した。まだ契約して間もないため、あまり詳しくはわからないところもあったが、鳴海も舞香も根が優しいのだろう、それで許してくれた。
その間俺は暇人、草むしってました。そして、美琴への質問タイムが終わり、今度は俺からの質問タイムがやってきた。
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