『俺が契約!!』の章~契約~4
『俺が契約!!』の章~契約~ラストです。
来るべき衝撃はやってこない。そのかわり
「食わないって。」
なんかテレビの被害者みたいな声で話しかけられた。あのモザイクみたいな声で。
そして彼は私の頭に手を置き
「怖かったな。」
優しく撫でてくれた、つい赤くなってしまう。
「なんで、食べないの。」
つい気になって聞いてしまった。すると彼はため息を尽き
「そんなに食われたい。」
と聞いてきた。もしかして地雷を踏んだんじゃ。
「ごめんなさい。」
「必要ないの。」
「え?」
彼の言った意味がわからなかった。必要ない?なんで?
「さっき、あいつ食ったの見てたろ。」
「はい・・。」
やっぱり食べてたんだ・・・
「俺はあいつみたいのを食えば自分の寿命は確保できるんだ。」
「寿命?」
私には彼の言っていることがわからない。寿命?確保?
そんな私の様子に気がついたのか、彼はめんどくさそうに説明し始めた。
「何で悪魔が願いをかなえた人間の魂を食うか知ってるか。」
「・・・知らない。」
知るわけない。ていうか、取るんじゃなくて食べてるんだ。
「そうか。じゃあそこから説明するか。」
そして彼は話し始めた。悪魔と契約すると魔力が共有されること、願いをかなえる代わりに代償を取られることも。
「なるほど。」
・・・・・・・・・・
「てっ!それじゃ私も代償取られるってことじゃないですか!。」
そうだ!なんか流れに任せて返事したけど、私このまま代償を取られちゃう。
「安心しろ。俺は何も取れない。」
彼はあきれた様に言う。
「取れない?どうして?。」
そうだ。なぜ彼は取れないのだろうか。
「俺は『悪魔落ち』なんだ。」
『悪魔落ち』何だろうか。言葉から考えると、悪魔から落とされたという意味。
「そのままの意味だ。俺のような悪魔落ちは人と契約できても、魔力の共有や代償の受け取りはできない。」
「なるほど。今度こそわかりました。」
彼の説明でやっと私は自分が生き残れたことを実感した。でも気になることがある
「ねえ、なんであなたは悪魔落ちになったの。」
「・・・・・。」
「言いたくないならいいの、ちょっと気になっただけだから。」
「すいません。マスター。」
どうやら聞いてはいけない事らしい。彼は、本当にすまなそうにしている。
はじめは怖かったが、鎧の間から時々見える彼の目はとても優しそうだ。そのとき私は彼の名前を聞いていなかったことに気づく。
「ねえ。」
「なんだ。」
「あなた、名前は。」
「名前は・・・・ない。」
「ないの。」
「マスターがつけてくれ。」
「私でいいの。」
どうやら彼には名前がないらしい。そして付けてほしいらしい。
とても迷う、どんな名前にしようか。
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~健一~
不覚だった。まさか名前を聞かれるなんて。ここで浅野健一と答えるほど俺も馬鹿じゃない。そこで名前を付けてもらうことにした。俺ってば天才・・・・・・・・と思ったのだが。どうやら選択を間違えたらしい。
「アッ君ぅん?」
「そう、アッ君。悪魔のあでアッ君。」
「でも、その、あれ。」
「マスターの命令よ。」
ぐっ。すっかりマスターという立場になれたようだ。仕方ない。
「オーケーマスター。」
「よろしい。あと・・・・。」
まだあるんかい!これ以上何をしろと。あんな、あんな変な名前まで付けられて。
「マスターていうのやめない。」
「え?」
「だから。」
「いや、わかった。じゃあなんて呼べばいい。」
「えっと・・・・美琴?」
「『美琴?』じゃねえだろ!!さっさと決めろ!!帰れねえだろ!。」
そうだもう8時をまわっている。そろそろ帰りたい。
「ええ!帰っちゃうの。」
「呼べばくるから。」
「ならいいや。アッ君って呼べばいいの。」
「そう。」
そんなことどうでもいいだろ!今は呼び方!!ってそれもどうでもいいけど
「じゃあ美琴でいい。」
そして俺はやっと帰ることができた。
晩飯食えなかったけど。
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