『俺が契約!!』の章~契約~3
残酷な表現があります。
~美琴~
今度こそ終わったと思った。しかし衝撃はこない。私は、恐る恐る目を開けた。煙で前は見えない。
徐々に煙が晴れ、私はようやく今の状況を理解した。それと同時に私は目を見開いた。
・・・・消えていた。
それ以外に表現のしようがなかった。彼の攻撃はもじどうり跡形もなく。目の前の彼は身動き一つしていない。対して鬼の方は・・・・・・。
「あ、ああ。」
放心状態だった。何が起こったか理解できない、そんな顔だ。おそらく私も同じ表情をしているのだろう。そのとき、目の前の彼がやっと口を開いた。
「マスター、願いを。」
願い?何のことだろうか?
「マスター、願いを。」
願いをいえということだろうか?
「あの、えっと、願いって。」
「・・・・・・・・・・。」
しばしの沈黙・・・・・・そして
「・・・ああ!もうめんどくせえ!」
怒鳴られた。
おそらく猫をかぶっていたようです。おまけに短気な性格。
「おまえは、こいつを倒したくないのか。」
「倒したいです。」
「なら願え。あいつを倒せと。」
彼は私をまっすぐ見つめる。
やっと理解した、なぜ私が無傷なのか、それは、それが私の願いだったから。そして彼は私の願いをなんでも叶えると言っているのだ。彼は何も取らないと言った、でもそれは本当だろうか。もしかしたら願いを叶えたあとにそのまま・・・・・・考えてもしょうがない、願うだけ願おう。
「あいつを・・・・あの鬼を・・・・倒して。」
~健一~
「あいつを・・・・あの鬼を・・・・たおして。」
「鬼?」
鬼?あの悪魔のことか。
しかし、なぜ彼女はそんな言葉を。見た目で考えれば悪魔というのが一番しっくりくると思うのだが。
まあいいか。彼女がそういうなら鬼ということにしよう。
「オーケーマスター。」
俺は振り返る、目の前の悪魔を抹殺するために。
「お、お前。悪魔落ちだな。は、はは、あ、あ、悪魔落ちごときが俺にかなうとでも思ったのか。」
相手は俺が悪魔落ちだと解ったらしい。さっきよりも余裕が見える。俺は右足を軽く出し、そして・・・・・・・・・ザシュッ
「あっ?」
間抜けな声が出る。何が起きたかわからない、そんな声だ。
彼が気づいた時には、俺の手は彼の心臓を鷲づかみにしていた。そして徐々にちからをいれていく。
「な、そんな!やめろ!!グハ、ウエェ、やめろおおおおお!!。」
彼は血を吐きながらもがいている。でもそんなの聞くわけがない。なぜなら、マスターの願いは絶対だからだ。
さらに力を加え、そしてついに
グチャッ
俺はゆっくり手を引き抜く。彼は力なく倒れた。もうピクリともしない。当たり前か、心臓つぶせばどんな生き物でも死ぬわな。
そして彼は黒い光とともに消えていく。しかしその前にやることがある。あお向けに倒れている彼を蹴飛ばして背中を向けさせる。そして彼の羽を掴み力いっぱい引く。血管が切れる音した、まるで噴水のように血が吹き出る。そんなこと気にもとめない。
彼は完全に消えた。残っているのは彼から引きちぎった羽だけ。俺はその羽に魔法をかけ小さくしていく、このままでもいいのだが、気持ち悪いので嫌だ。
そして黒いビー玉ぐらいの大きさになった。そしてその玉を口に含み・・・・・飲み込んだ。
~美琴~
私は今動けないでいる。恐怖で動けないでいる。
私は、願いを言ったあと大事なことを思い出した。
あの鬼が、とてつもなく強いということに。私でさえも適わないほど強いことに。
しかし、そんな心配ははじめから必要なかった。
・・・・・・・・・・圧倒的だった。
正直適うなんて思わなかった。それを、いとも簡単に・・・・。
その強さに恐怖した。そして彼は、あの鬼を『食べた』のだ。
その後に私に振り向き、ゆっくり近づいて来る。
「やめて!食べないで。」
私は反射的に目を瞑った。
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