私は妹の婚約者とキスをする
イザベラです。
侯爵令嬢をしております。
ちょっと前までは、第3王子の婚約者だったのですが、不幸な行き違いがあって、婚約は白紙になりましたわ。
王立学園を卒業前に白紙になっても、もう殿方達は相手がいらっしゃるの。
私なんて誰も相手にしてくれないのですわ。
そして、卒業しても相手も居ない。
実家に帰って、お父様の政務のお手伝いなどをしておりますの。
でも私、最近気になる殿方がいますの。
こんなことを思ってはダメだけど、妹の婚約者アベル子爵令息。
始めは、そんなに意識もしていなかったのですが、最近では・・・
私が政務を手伝いが終わって、庭で休憩をしてると、
テクテクと走って近づいて来る。
「イザベラ様。こんにちは。」
「こんにちは、アベルくん。アイサに会いに来たの?」
「はい。」
くったくのない笑顔で、アベル君は答えた。
まぶしい。12才なのにキラキラオーラをまとっている。
「そういえば、義姉さんこっちに戻ってから、元気がないですよね。」
「うん。まあそうね。」
「アイサも好きな、元気になる<おまじない>をかけてあげましょうか?」
「えっ。どんなおまじないなの?」
「目を閉じてください。」
アベル君は悪い子じゃないしと、一瞬、魔が差してしまったの。
何か柔らかい、物が頬にぶつかる。
私は驚いて目を開ける。
「もう、開けちゃダメじゃないですか。」
「アベルくん。ダメじゃない。そんなことしたらアイサが悲しむわ。」
「ダメじゃないですよ。アイサも義姉さんが悲しむの見たくないですよ。
だから、元気の出る<おまじない>をしたんですよ。」
アベル君は年に似合わない不敵な笑みを浮かべた。
でもなんか元気が出たかもしれない。
アベルくんは、おまじないをかけた後に部屋の方にかけていった。
困った子ですの。
そう思っていたら、後ろから声がした。
「そうだ。義姉さんの事を気になっている友達がいるんで、今度紹介しますよ。
あっ。安心してください。その友達は義姉さんと同い年ですから。」
彼がどんな人を紹介してくれるかはまだ分からないけど。
なんか、色々あったけれど、元気が出た気がする。
「おまじない、案外効いてるかもしれない///」
私は頬を赤らめながら、彼が走り去っていくのを見送った。
アベルくんの友達が隣の帝国の侯爵令息で、私に一目惚れしたりするのは、
また別のお話。
完
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あとがきのコーナー
姉の婚約者が妹に取られてばかりなので、
逆を考えようと思っていたら、どうしてこうなった。
京安藤しーぷです。
ご覧いただきありがとうございます。
ちょっと背伸びをしたい年頃の
男の子が、恋人の姉に
キスしたらまずいね。
さすがに盗ったらまずいので、おまじないという感じになりました。
それにしても12才なのに、隣の国の侯爵の令息の弟が友達で
兄が保護者で付いてくる、そして一目惚れすればいいんじゃないかな。
アベル君と弟君が、両側から頬におまじない
なんて展開は、ないんですかねぇ。
ありません。
(あとがき文章校正していたら、
アベル君と弟君がおまじない
って書いてて焦った。)
頭に思いついたこと書いてるけど、
ネタ被りがあったら、すいません。
次回作もよろしくお願いいたします。