御昼ご飯と屋上と自殺
なんか、凄いライバルっぽい。そう思っていたら、
「あと少しで授業始まるぞ」
碧斗に言われて気づいた。授業、私だけ遅れているからしっかり聞かないといけないな。あぁ…めんどくさい。
これも私の体が弱いから。親を責めてる訳じゃないけど、もう少し丈夫に生まれたかった。
いや、本当は分かってるんだけどさ…。私が弱いって分かってるくせに無茶したからだよね、自業自得。
「うん、分かった」
憂鬱だなと思いつつ、碧斗に返事をした。
◇◇◇
今は昼休みだから、屋上に行って弁当を食べることにした。屋上に行こうと思って、弁当を持って立ち上がると、碧斗も弁当を持ってついてきた。
碧斗は学食だったと思うんだけど…。私がいない間に変えたんだろうか。それとも私がいつも一人で屋上で弁当を食べていたから?…そんなわけないか。
と言うか何で碧斗がついてきたんだろう。私と一緒に食べたいのかな?私友達いなかったから友達と食べる御昼ご飯って密かに憧れていたんだよね…。
「碧斗、私と一緒にお弁当食べる?」
一応聞いてみる。これで違うとか言われたら凄い恥ずかしい。
「そのつもりだったんだけど」
よかった。一人恥ずかしい思いにならなくて。
「屋上で食べるんだけど、それでいい?」
「あぁ、亜莎紀の好きにしろ」
なら屋上にレッツゴー。
「そういえば、俺達の出会いも屋上でだったな」
と歩きながら碧斗が言ってきた。そう言えばそうだったな。私が生きるのにめんどくさくなって自殺しようとしていたのを碧斗が止めたのが最初の出会いだった。
結構最近のことなのに、大分時間がたっているような気がする。
碧斗が私を止めなかったらどうなっていただろう……いや、考えるのはやめておこう。
「そうだね」
それから歩いて2分くらいたつと、屋上の扉が見えてきた。多分今日も誰もいないんだろうな。
あれ、そう言えば何で碧斗は誰も来ない屋上にいたんだろうか。
「貸し切り状態だな」
「あのさ、碧斗」
「何だ?」
「何で碧斗はあの時屋上にいたの?」
「俺がよく屋上に行くからじゃないか?」
は?よく屋上に来る?私、そんなの知らない。御昼はいつも此処で食べているけど、碧斗なんかいたことないし、いや、あの時はいたけど。
よく行くって言うんなら1回くらい会うことだってあるはずなのに。
「俺は基本的に一人でいるのが好きだったからな。屋上は穴場だから入り浸ってただけだ」
入り浸ってた?全然知らなかった。一人でいるのが好きって言うのも忘れていた。私とよくいるから。そうだ。この人孤高の王子的な存在だった。…いや、女子生徒の話し声から度々聞こえる氷の王子か?…記憶力はいいはずなのに。
最近緩んでるかもしれない。これじゃあだめだ、気を引き締めよう。
でも会っていないから最近は来なかっただけとかじゃないか?
「今も来たりする?」
「するぞ。あー…、でも最近は亜莎紀が入院してるときとか休んでるときとかに来てるからな」
当たった。よりによってそんなときに来ていたのか。
「何で私がいるときに来なかったの」
「だっていつも学食だし」
やっぱり学食か。
「元々は学食だったんだが、食事中にまで人がよってきてな。だから屋上で食べていたんだが、亜莎紀と友達になってから少し余裕が出来たんだ。亜莎紀といるときは誰も寄ってこないし、疲れない。亜莎紀が学園を休むと同時に人がたくさん群がって来るから要注意だが、亜莎紀のお陰で亜莎紀がいるときだけは学食を食べるようにしていた」
王子様って大変なんだね。まぁ、碧斗は好きで王子様なんて呼ばれているわけではないし、余計に。
私が屋上にいるときに碧斗がいないなら分からなくて当然かもしれない。
「何で弁当にしたの?」
そう、学食派だった人が何故弁当に?まぁ、別にどんな理由でも構わないんだけど、一応気になるし。
「亜莎紀と食べたいと思ったから」
スパッとそんなことを言ってくる碧斗に、少し私の頬が赤くなるのを感じた。嬉しいけどさ。…恥ずかしい。こんなの私らしくない。…どうしたんだろう。
…でも、とりあえず
「お昼休み終わっちゃうし、早く弁当食べない?」
「あぁ、そうだな」
「あと」
「何だ?」
これは言ったらだめかな。少し迷ったが言うことにした。素直なのが一番と言うし、まぁ、素直過ぎても問題だけど。
「さっきの言葉、嬉しかったよ。…ありがとう」
私がそう言うと、碧斗の頬も赤くなっていった。碧斗はそれを腕で隠しながら
「あ、あぁ」
と返事をした。
一人で弁当と言うのも案外寂しいものだし、これから碧斗と弁当を食べられるのなら、それに越したことはない。
それから弁当箱を開けてさぁ食べようと言うときにガチャ、とドアが開いた。誰だろう。
あ、この人知ってる。
屋上に来たのは女子生徒だった。同じクラスの子で、異様に長い前髪と、伊達眼鏡をつけていて、結構と言うか大分可愛いこの学園の制服をアレンジしたのか随分と地味になっている。
なんか、わざと自分を地味にしているような感じだ。こんなことする生徒はあまり見ないから、名前を覚えてしまった。
名前は、文月早苗。
そう一人で思い出していたら、目の前の文月さんが私達に気づいていないことがわかった。そしたら碧斗が小声で、
「なんかこれ、前にもあった気がする」
と言ってきた。
文月さんは屋上の端に立っていた。これ、もしかして死のうとしてます?
え、こう言うときってどうすればいいんだ。
でも文月さんがここで死んでしまったら屋上が使用禁止にされそうで嫌だな。自殺しようとしてた私が言えることじゃないけど。
あ、これあと少しで落ちるやつだ。
「ちょっと待って!」
私は全力で駆け出した。後ろから「おいっ!」と言われたけど今は構っている暇がない。
あぁ、碧斗もこんな感じだったのか。私は全力で文月さんを引き戻した。
更新遅くなってしまってすみません。感想や質問などありましたら伊戸菜に教えてください。お読みいただきありがとうございました。




