私は最低な悪役令嬢(恵利華視点)
恵利華視点と書かれていますが、最後にちょこっと亜莎紀視点があります。
私が話す前に、亜莎紀さんは行ってしまった。
まさか、友達になろうと言って断られるとは思っていなかった。…いや、本当は何処かで分かっていたの。
亜莎紀さんと友達になることは一生無いって。
でも、亜莎紀さんは優しいから、もしかしたら私と友達になってくれるかもしれないと思ってしまっていた。
けど、なれるわけなかったんだ。
…私は、亜莎紀さんに沢山酷いことをしてしまっていたから。
大きな…大きな罪をおかしてしまったから。
これじゃあ、私だって悪役令嬢だわ。でも、これはゲームの世界の花影恵利華のせいじゃないわ。この世界で生きている私がしてしまったこと。
あんなになりたくないと思っていた悪役令嬢に、私はなってしまっていたのね。…亜莎紀さんを沢山傷つけていたのね。私はどうしてゲームの世界にとらわれていたのかしら。
私は、ずっとこの世界をゲームの世界だと思っていた。でも、亜莎紀さんが気づかせてくれた。ここは、ゲームの世界じゃなくて、現実なんだと。だから、リセットも、セーブも、巻き戻しだってできない。
私と友達になってくれた皆だって、ゲームの攻略対象ってだけではなくて、自分の意思で生きている人間だった。
私は、最低だわ。
こんな駄目駄目な悪役令嬢の私に、彼女はライバルにならなれる、と言ってくれたわ。あの時、亜莎紀さんは笑っていた。優しい顔で。顔も見たくないはずなのに。私の事が許せないはずなのに。大切な、人生の時間だって縮めてしまったのに。
罪は償っても償ってもなくなることはないけれど、これから自分を変えていくことなら出来る。もう二度と同じ失敗はおかさないように、罪を増やすことの無いように。
だから、せめて彼女にとっての一番のライバルでいたい。それが、私に残された唯一の亜莎紀さんとの繋がり。亜莎紀さんと関わっていられるなら、当て馬だってかまわない。
誰にも、渡さないわ。
私は、絶対に変わる。素敵な人になるわ。
でも、新しい私になったと言う証みたいなものが欲しいわね。…何か無いかしら。
…あ。
女の子って失恋したときとか髪を切ったりするわよね。失恋、ではないけれどある意味失恋よね。
この悪役令嬢感溢れる巻き巻きの縦巻きロールを成敗してやるわ!!
となったら今すぐにでも切ってしまいましょう。でも、生憎私には今手持ちにハサミを持っていないわ。まぁ、手持ちもなにも私、今手ぶらですけどね。
…あ、いいこと思い付いたわ。
「ちょっと、そこの貴女」
通りすがりの女子生徒を呼び止めた。
「ひっ!え、恵利華様!?」
ごめんなさい、驚かせたかったわけではないのよ。
「今、手持ちにハサミを持っていらっしゃったりするかしら?」
「は、ハサミ…ですか?」
凄い挙動不審で、黒髪に黒淵眼鏡のいかにも私とは関わらなさそうな子で、この子を呼び止めてしまったことを少し後悔。でも、この子しかいなかったんだもの。凄く申し訳無いわ…。
「そうよ、あったら貸してほしいのだけれど」
「は、ハサミですね。…ちょっと待ってくださいね…ハサミハサミ…」
物凄い勢いで筆箱をあさっているけど、それ、逆効果なんじゃないかしら…。
「あ、ありました…。どうぞ…使ってください」
震えながら渡されたハサミ。有り難く使わせていただくわ。
「せえい!」
ジョキ…ジョキジョキジョキ
「な、何してるんですか!!ちょ…、髪が!」
長い間この縦巻きロールと過ごしてきたのよね。
…さようなら、縦巻きロール。
「いいのよ、あ、ハサミ、ありがとうございました」
「い、いえいえ、そんな!」
なんて優しい子なのかしら。
「貴女、お名前は?」
「ふ、文月早苗でぇ!…す…」
…噛んだ。
「素敵なお名前ね。覚えておくわ」
私は落としてしまった髪を拾い、近くにあったごみ箱に捨て、教室へと戻った。
◇◇◇
ザワザワザワ
…一つ言いたいことがある。
花影さんに何があった。
さっき花影さんと話してから教室に戻って少し時間が経って、花影さんいないなあと思っていたら思いっきりドアが開いて、周りがザワザワし始め、何事かと思ったら…
髪がバラバラに切れている花影さんが私の前に現れた。
「おい、彼奴どうしたんだよ」
碧斗までテンパってしまっている。
「亜莎紀さん!!」
話しかけられた。
「はい、何ですか?」
「私、変わりますから!ライバル、やってみせますわ!負けませんわよ」
花影さんが力強く言った。本当に、さっきの間に何があったんだ…。でも、これは良いこと…だよね。
私も打倒花影恵利華を目指しているし。
「私も…負けませんよ」
長らくお待たせいたしました。再開しました。そして、新キャラが出ました!感想や質問、この子が好き、とか、この子いやだなぁ、とか何でもいいので伊戸菜に教えてくださいね。更新の励みになります。これからも頑張ります。




