話し合い
丁度人気の少ないところを見つけたから、そこで話すことにした。
「……」
「……」
沈黙になってしまった。私から話題をふればいいんだろうか。どうしよう…。
「亜莎紀さんは…、笑うようになりましたね」
何か話題をふろうかと思っていたら、いきなり私の事をふられた。花影さんは、私の変化に気づいていたらしい。
「はい、そうかもしれないですね」
私がそう言うと、花影さんは意を決したような顔をした。
「それは、碧斗様のおかげですか?」
花影さん、ビンゴです。
「何が言いたいんですか」
つい、いつものきつい口調になってしまった。悪気はない。
「亜莎紀さんは、石城梨鈴だったんですわよね」
やっと本題に入った。
「そうです」
「なら、どうして死んでしまったんですか?」
そんな質問されるとは思っていなかった。これは花影さんに、言ってもいいのかな…。でも、言いたくない。
「正確には、石城梨鈴は自殺していません。ごめんなさい。私、ここまでしか話せません。私の事は一旦後にして、花影さんの事を教えてくれませんか?」
話を変えることにした。花影さんは納得のいかないような顔をしていたけど、私の言う事を聞いてくれた。
悪い人ではないみたいだ。いい人なのかはわからないけど…。
「亜莎紀さんに言われた通り、私はここをゲームの世界だと知っています」
まあ、知っていたけどね。あんなに大きな声で言っていたら。この世界にそっくりなゲームが、違う世界で存在していたのを知っている人でなければ、ヤバい電波ちゃんだと思われていただろうけど。
「私の前世は、ずっと病院暮らしの女の子だったの。その時にすごくはまっていたのがこの、『わた花』です。ヒロインと私を重ねながらゲームをしていたから、ヒロインに憧れていたの。その人生も、あっけなく終わってしまって、私は転生しました。健康的な体で、家もお金持ち。なんて素晴らしいんだろうと思っていたんです。私がこの世界が『わた花』だと気づいたのは、6歳の時です」
ヒロインに自分を重ねるって人、いたわ…。石城梨鈴の姉もそうだったし。まあ、ゲームのプレイの仕方なんて人それぞれだからね。
「けれど、私は悪役令嬢だったわ。だから破滅するフラグをへし折って、悪役令嬢にならないようにしたの。何度も、ヒロインがズルいと思ったこともあった。でも、貴女はヒロインとはかけ離れていた。ヒロインなはずなのに、目が死んでいて、友達になろうと言った私を断った。ここは乙女ゲームの世界なはずなのに。そう思っていました」
「でも、ここは乙女ゲームの世界ではなくて、現実の世界だった。それを私に気づかせてくれたのは亜莎紀さんです。今まで酷いことを言ってしまってごめんなさい。許してとは言わないから、私と、友達になってくれないかしら」
花影さんの考えが知れてよかった。あと、ここがゲームの世界ではないと気づかせてあげることが出来た。
何度も聞いた「友達になろう」も、今回は本気だろう。体も少し震えている。でも、どうしても、彼女と友達になりたいとは思えない。
友達になったら仲良くなれるかもしれない。だけど…、友達にはなれない。我が儘かもしれないけど、心の底からそう思った。でも、花影さんへの嫌悪はいくらか減った。
「ごめんなさい、友達にはなれません。でも、花影さんがきちんと謝ってくれて、よかったなと思っています。この前私が言った花影さんよりも上に行くと言うのは変わっていませんから、気を付けてくださいね?友達にはなれませんが、クラスメイトにはなれます。ライバルにだって。私も頑張りますから、花影さんも頑張って下さいね。では、話は終わりと言うことで」
そう言って、花影さんの言葉も待たずにその場を後にした。
何だかスッキリした気がする。
そう思いながら、私は教室へ向かった。
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