ドジッ子属性とかいりません
教科書は諦めよう。別に無くても大丈夫だと思うし。戻りたいけど戻ったら見つかりそうだし。
取り敢えず家から一番近い駅に向かっているけど、今何時だろう時間大丈夫かな…スマホスマホ……無い。
ダメだ。今日の私はポンコツ過ぎる。ドジッ子属性が私に引っ付いてる。
時間はやっぱりいいや。駅まで急ごう。さっきから早くいかないとお兄様に追いかけられそうで怖いんだよ。
歩くこと十分くらい。私はようやく家から一番近い駅に着いた。切符なら買えるし、改札口を通ることだって出来る。もうドジるものか。
あれ、切符が出てこない。何で?……お金を入れていなかった!
もう今日はダメだ。本当にダメだ。
後ろの人たちの早くしろオーラが怖いし、何でこんなところに柏蔓学園の生徒がいるんだと言われているし、乗ろうとしている電車が来ているし、私は焦っていた。
高速で切符を買って改札口を通り、私はギリギリで電車に乗った。人が沢山いて、凄く息苦しい場所だけど、なんとか我慢した。
さっき時計を見たら、まだ学園が始まるまで余裕があったから安心した。
それから十五分くらい電車に揺られて、電車を降りた私だけど、残念なことに酔った。凄く気持ち悪い。
ふらふらしながら意地で学園に来た。今は門にいる。
「…大丈夫ですか…?」
誰かに声をかけられた。ん?この声聞いたことがあるぞ。この声は…もしかして。
「花影さん…?」
私の前には心配そうな顔をしたあの人が立っていた。
「えっ、亜莎紀さん…?」
彼女も私だと思っていなかったみたいで驚いていたけど、心配そうな顔は変わらなかった。これ、どうすればいいんだろう。
「えっと、亜莎紀さん…取り敢えず…保健室に行きましょう?」
戸惑いながらも私を保健室へと促した彼女に、今は素直に従うことにした。
◇◇◇
僕はシャワーからあがって、さっき寝かしつけた亜莎紀を見ようと亜莎紀の部屋のドアに手をかけた。
僕の妹、亜莎紀は少し変わっている。生まれたときから一度も笑顔を見たことがなかった。普通ならあり得ないことを彼女はして見せた。
小さいのに、全てを諦めたような目をしていた。僕たち家族とも必要以上に関わろうとせず、僕が兄と思われているのか分からないくらいだったけど、亜莎紀が僕のことをお兄様と呼んでいたから安心した。
妹である亜莎紀は僕のことを好きでも嫌いでもないみたいだったけど、僕は亜莎紀が大好きだった。
彼女を笑わせたかった。泣かせてあげたかった。心の扉を開いてあげたかった。
そんな亜莎紀は体が弱くて、すぐに倒れていたから学園には通えなかった。亜莎紀は僕達に隠していたみたいだけど、亜莎紀は頭がいいなんて言葉では伝えられないくらい天才だから可哀想だと思った。
でも亜莎紀は一応柏蔓学園の生徒だったから、高等部になったら通わせてやってくれと親に頼み込んで、亜莎紀を高等部から学園に通わせた。亜莎紀も行きたがっていたし。
通わせてから1ヶ月くらいたったある日、亜莎紀に友人が出来たと言われた。そのときから亜莎紀は感情が豊かになった。
亜莎紀を変えたのは友人だろうと推測し、僕は亜莎紀の友人を探した。雪野木碧斗と言う柏蔓学園の理事長の息子だった。
彼と会って亜莎紀のことを聞いてみると、亜莎紀が自殺しようとしていたのを止めて仲良くなったとのこと。亜莎紀のお見舞いに毎日来ていた。
今は亜莎紀に関する情報を彼からもらっている。
亜莎紀の話はこれくらいにしておいて、部屋に入ろう。
亜莎紀の部屋に入ると、どうやら亜莎紀は寝ているらし…あれ。亜莎紀がいない。亜莎紀もどきが置いてあるだけだ。布団を剥がしてみると、やっぱり亜莎紀はいない。空いている窓。無くなっている制服。そして…忘れているスマホと教科書。
亜莎紀が学園に行ってしまった!!
あんなに行くなと言ったのに。僕は亜莎紀を捕まえにいく用意をした。
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