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頭がまわらなくて…


「化け物の貴女がこの世に存在するから周りが騒ぐのよ。もう、貴女も疲れたでしょう?楽にしてあげるわ。今まで生きてこられただけでもよかったじゃない。さようなら、忌まわしい私の子」


ああ、これは私の夢だ。思い出したからって夢にまで出てくるなんて酷いと思う。かつては母のために頑張っていた自分が、その母に殺されるなんて。でも、あれは殺されたと言うのだろうか。


「さようなら、お母さん。大好きだったよ」



ブッブッーーー!…ドン


とばしていた車目掛けて母に押され、私は跳ねられて死んだ。私が大好きだと言ったときに、母は一瞬、顔を歪めていた。


「なんで、愛してあげられなかったの。私の、私の大切な子供だったのに。なんで、なんで私はあの子の気持ちを踏みにじったの?あんな、何をしても動じない人形のような子になっちゃったの?何処で、私は道を間違えたの?」


何…これ。こんなの知らない。これは、私が死んだ後の話?


場所が変わって、今度はお葬式の会場になった。使われていた写真は、まだ私が笑っていた頃の写真だった。


「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」


私を殺したはずの母がやつれていて、ただ『ごめんなさい』とひたすら謝っていた。


「ごめんね、莉鈴りり。私、駄目なお姉ちゃんだったよね。私、迷惑だった?なんで、自殺なんてしちゃったの?」


ボロボロと涙をこぼしているお姉ちゃん。私の死の原因は自殺と言うことにされているらしい。夢のはずなのに、現実に思えて怖くなった。 




………………………………………



「違う、違うの……お姉ちゃんは…駄目なお姉ちゃんなんかじゃ…なかったんだよ…」


私は目が覚めた。ベッドの横には心配そうな顔をしたお兄様が立っていて、気になったけど、それよりも何だか体がだるくて、気分が良くなかった。


「亜莎紀?お姉ちゃんって何?どんな夢を見ていたの」


お兄様が唐突にそんなことを聞いてきた。夢の内容は覚えているはずなのに頭がまわらなくて答えられなかった。


「体が弱ってる亜莎紀に聞いても駄目か…。涙が出てるから拭ってあげるよ。亜莎紀、今日の学園は休むんだよ」


兄に弱っていることを見抜かれて、少ししょんぼりしながら、知らぬ間に溢れていた涙を拭ってもらっていた。


まだ学園は騒いでいるだろうから行きたいのに。

休んでばかりでは、なんだか駄目な気がする。昨日退院したばかりなのに。あぁ、誰か生気を分けてください。


でも、風邪はひいていないからうつすことは無いと思うんだ。だから、何とか粘って学園に…!


「…いや。学園行く…」


「はぁ…。誰が病弱な亜莎紀を学園に通えるように説得したと思ってるの?駄目なものは駄目。最近亜莎紀は子供らしくなったよね。今までなんでもいいされるがままだった亜莎紀が自分の意見を言っているし」


お兄様は私を子供らしくなったと言った。それっていいことなのかな…。そして学園に通えるように、渋る両親を説得してくれたのはお兄様だからそれを言われてしまっては何も言えない。


「分かりました」


「まだ寝ていなさい」


私にそう言って、お兄様は優しく私の頭を撫でてくれた。そして部屋から出ていった。


これで私が寝ると思っていたか。私は学園に行く。

取り敢えず薬を飲んで制服を着て、誰も見ていないうちに窓から出ていけばいい。今の時間ならお兄様はシャワーをしている時間だ。


私はまだお掃除も終わっていないし、他の人たちになめられては困る。碧斗にも会って作戦を立てておきたいし…。とにかく、私はやることが沢山で、休む暇もないのだ。


薬を飲んだら少しは良くなるし、無理はしない、と思う。


私は用意を済ませ、窓を開けた。誰もいないことを確認してからダッシュ…は出来ないから出来るだけ早く家を出た。


私が家から抜け出したと分からないように、ベッドには無駄に多く持っている(お兄様から貰った)人形を詰めて、私の髪が短いときに、お母様が『たまには長いのもいいわよね』とパーティーがあったときにつけていたウィッグと、それをしまうのに買ったウィッグがかぶせられるものを置いて、一見私が寝ているように見える亜莎紀もどきを作ってきた。


学園は家から遠かったから電車で行こう。前世の私が…莉鈴が知ってるから行ける。


そして私は忘れていた。体が弱っているせいで頭があまりまわらないことと、今の自分の考えが幼稚すぎて、お兄様にバレると言うことを考えていないと言うことを。


「あ、教科書忘れた」



昨日は更新できなくてすみません。ブクマ、評価、ありがとうございます。これからも頑張ります!

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