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プロローグ

 


 真っ白な雪を染め上げる血。その血が僕にこれは夢ではないと突き付ける。


 炎をあげて今にも爆発しそうな車。血を流して倒れている僕の家族。もう一つの炎をあげてないが車内に沢山の血が付いている車。余りにも酷い惨状だった。


 誰もが起き上がることができずに倒れていて僕だけが生きている。いや、違う。よく耳を住ませると近くに仰向けで倒れている妹の呼吸音が聞こえた。


 さらに周囲を見回すと血を流して苦しそうにしている両親を見つけた。急いで駆け寄る。僕は今にも泣き出しそうだったが我慢して何度も声をかけた。だが、お父さんしか反応を返さない。お父さんは今にも死にそうな声で一言、二言だけ話した後に死んだ。お母さんは確かめたがもう息はない。


 泣きそうになるのをまた我慢して僕は妹のすぐ側に行く。お父さんから妹のことを託されたから。助けないといけない。妹は血を流して気絶しているが、深い傷はないので無事だった。


 安心するのと同時に涙が流れた。


 もう、嫌だっ! 何で僕がこんな目に会わないといけない! 僕はただ平和に過ごしたいだけなんだ!


 声を上げて叫ぶが、叶えてくれる人などいない。


 許せないこんな世界! 許せない無力な自分!


 もう何もかも全部消えてしまえっ!!


 この時、僕の世界は確かにひび割れる音をたてて崩れ落ちた。


この後すぐに更新します。

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