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2.

朝が来て思うのは、前日までの怠惰な自分のツケが回って来たなということ。ズンと寝覚めの悪い体に合わせ心がどんどんと重たくなる。その重みに内臓全てが押しつぶされるんじゃないかと錯覚するくらい。

早速押しつぶされ始めた胃がキリキリと痛みだし、空嘔吐が始まる。何も吐き出せやしないのに、胃から食道までが心地悪く逆再生のごとく動き始める。結局吐き出せるのは唾だけで、それにどこか虚しさを感じる。


さて、太陽は少しずつ高さを持ちどんどんと昇っていく。


私は虚しさを抱えたまま、重りを胸に抱えたまま時計とにらめっこをして靴を履く。


生きるために働いているはずなのに、

働くために生きてるような気がするようになった。


そうなった頃から生きるのが面倒くさくなった。


駅のホームでどこか焦った駅員の放送が流れる。

「京都線をご利用のお客様におしらせします。現在淡路ー十三間で人身事故が発生した影響により…」

電車が遅れていることを知るや否やスーツを着た男たちはみな携帯を片手に慌ただしく連絡を始める。


「はい、すみません。」

右からも左からも誰の責任でもないのに謝罪の言葉が行き交い、思わず私もゆったりと駅に入ってきた普通列車に飛び込みたくなる。


誰かが、死ぬなら忙しくない時間にしろよ。と吐き捨てた。忙しい時間だから死にたくなったんだよ。爪先の際に黄色のボーダーラインがある。


わたしもいつかそこを超える日がくるのかしら。


なんてニッと笑って、やっときた特急列車に乗り込んだあたりで、私はまた働くために生きていくんだろうと思った。

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