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『非正規社員 石田三成』~ショートストーリー集~  作者: 坂崎文明
第四章 日常編

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復活、赤き流星

「メガネ隊長、このままではジリ貧です。ハネケ、夜桜、心乃助、ライト君、桐野さん、天海さんたち聖刀組は殲滅、攻城刀技の力を溜めてます。もう、一気にいくしかない」


 副隊長のザクロから通信がくる。

 背後には人型機動兵器ボトムストライカーの攻撃部隊800機がメガネの号令を待ちつつ、静かに待機している。


 メガネは聖刀<真田丸>で前線に鉄壁の防御陣を展開して、西郷隆盛の率いる不死身の<天牛>部隊で、ボトムストライカー隊の百倍にも及ぶ超巨大機動兵器<ジャイアント>の攻撃を防ぎ切っていた。

 だが、こちらの攻撃も物理、エネルギー攻撃を吸収してしまう伝説の<エンリルの盾>で完璧に防御されてしまっていた。


「いや、あの盾を確実に突破できる威力がなければ仕掛けられない」


 すでに一度、攻撃部隊500機で<ジャイアント>に対して飽和攻撃をかけたのだが、全くその防御が崩れる気配はなかった。

 さらなる増援300機が加わったとはいえ、<エンリルの盾>の防御を崩せる気がしない。


「メガネ隊長の聖刀<真田丸>が攻撃に使えたら。三成さんの殲滅旗技<大一大万大吉(ワンフォーオール)>があればなあ」


 ザクロが珍しく弱音を吐く。

 だが、<真田丸>の防御陣が崩れたら、一気に前線は崩壊する。

 石田三成の殲滅旗技<大一大万大吉(ワンフォーオール)>があれば、メガネたちの力は何倍も膨れ上がっただろう。

 それぐらいメガネにも痛いほど分かっている。

 そして、ふたりの武将の偉大さを思い知る。


「ザクロ、それは言わない約束だぞ」


 メガネはそういいながら、今はもういない真田幸村と石田三成の死に様を

思い出した。

 俺もああいう死に方をしたいものだ。

 メガネが半ば、死を覚悟した時、奇跡は起きた。

 凄まじい衝撃波で月面が揺れた。

 メガネの<真田丸>の前に、懐かしい真紅の機体が降臨していた。

 真田幸村の機体、<ニンジャハインド クリムゾンソード>である。


「メガネ君、俺の渡した聖刀<真田丸>をまだ、使いこなしてないようだな?」


 それは確かに、真田幸村の声である。

 その時、<ジャイアント>が伝説の光槍<ドラゴンキラー>を幸村に向けて放つ。

 が、光槍が<ニンジャハインド クリムゾンソード>に届く前に、空中で何か見えない壁に阻まれたように落下した。


「三成、いつもすまんな」


 幸村の声の先に、石田三成の白色の愛機<ホワイトナイト ドローンマスター>が出現していた。

 光槍は無数のドローンでその威力をゼロにされて大地に突き刺さっていた。


「いつものことです」


 石田三成が答える。


(全く成長しないとは嘆かわしいのう)


 思念通信(テレパシー)にあまりにも懐かしい声が響いた。

 攻撃部隊800機の背後に、織田信長の機体、式鬼<金鋼(コガネ) (ゼロ)>が現れる。

 宇宙船モードのネオUボートも着陸している。


 オタクたちや歴戦の武将の目にも思わず涙が溢れてくる。

 織田信長、真田幸村、石田三成三人の背中をみて、オタクたちはこの戦いに身を投じ、西郷隆盛、桐野利秋こと人斬り半次郎などのような武将たちは織田信長のスカウトでやってきた者も多い。

 何より皆が織田信長の最後の言葉を支えに今まで戦ってきたと言える。

 

「とりあえず、あの盾を壊せばいいのかな?」


 幸村はことのなげにいう。


「三成、いくぞ! 千本桜<真田丸>!」


「殲滅旗技<大一大万大吉(ワンフォーオール)>!」


 幸村のもうひとつの聖刀<真田丸>と三成の聖旗<大一大万大吉ワンフォーオール>のふたつの聖刀の力が解放され、<真田丸>がまるで桜の花弁のように大量複製されていく。

 そして、その花びらが超巨大機動兵器<ジャイアント>の<エンリルの盾>に殺到し、跡形もなく盾を破壊した。


「夜桜、後は任せる」


 幸村の言葉に、夜桜が聖刀<天羽羽斬剣あまのはばきりのつるぎ>を引き抜いて、漆黒の機体<ニンジャハインドGR(ゴールドレア)>を駆って、一気に<ジャイアント>に肉薄する。

 光槍<ドラゴンキラー>が大量に夜桜の機体に殺到する。

 夜桜は機体を分身させてかわす。

 <真田影流>の秘伝のひとつ、<影月>という技である。


「百八連斬!」


 夜桜は自分の機体の百倍ほどの<ジャイアント>を連撃で斬っていく。

 殲滅、攻城刀技を分割使用して、一気に敵に叩き込む高等刀技である。

 <真田影流>の秘伝の<風雷連山>からヒントを得たオリジナル刀技である。

 ついに<ジャイアント>の巨体が月の大地に倒れて地震のような衝撃波が広がっていった。


「なかなか成長したな、夜桜」


 幸村の言葉に、夜桜の目からも涙が少し流れた。

 憧れて背中を追い続けた師匠からの最高の賞賛の言葉だった。

 

 

(ひとり舞台かよ)


 と桐野利秋こと人斬り半次郎。


(幸村殿とまた一緒に戦ゆっ)


 と西郷隆盛。


(幸村さんらしい)


 と心之助。


(まあ、仕方ないか)


 とライト君。


(心強い味方が増えたな)


 と明智光秀こと天海。


(いや、ほっとしたよ)


 とメガネ君。


(美味しいとこ取っていくわね)


 とハネケが言うと、


((((((お前が言うな!))))))


 と全員から突っ込まれてしまった。

 関ヶ原の戦いの最後にそんなことがあった。

 真田幸村たちのあまりの頼もしさに、ほっとしてしまって力が抜けるメガネ君であった。 

赤い流星、真田幸村/第三章 飛鳥戦国時代編/安倍晴明と安東総理のやり直し転生譚 作者:坂崎文明

https://ncode.syosetu.com/n3265cr/41/ 


 

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