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『非正規社員 石田三成』~ショートストーリー集~  作者: 坂崎文明
第四章 日常編

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メリカリ 南部鉄器急須

「メリカリの南部鉄器急須出品者に物申す!」


 パソコン画面を見つめていた織田信長が切れている。

 そこは東京目黒の三成の風呂なし安アパートである。

 真田幸村は大福を食べながら昆布茶をすすっている。


「信長様、どうしたんですか?」


 石田三成が心配そうに訊いた。


「わしは鉄分不足を補いたいので南部鉄器の急須が欲しいんだよ! 中がホーロー加工がどうか明記しろ!」


 織田信長が吼えている。


「うん、それは基本ですね」


 三成は同意する。


「大きさを書くのはいいのだが、お茶の作れる容量を明記しろ!」


「それはそうです。自分が買い手の気持ちになれば、当然、書かないといけないですね。全くです」


 三成はうんうんとうなづく。

 

「3000円の品を2000円に値切ったら素直に要望に応えろ! せめて間を取って2500円にしろ! 楽市楽座の基本だぞ!」


「確かに、1000円の値下げは痛いけど、500円なら大丈夫でしょう」


 三成が話を合わせる。


「2500円にして、さらに送料込みにすれば即決するぞ! それと茶こしも買ってきてサービスでつけろ!」


 信長は自分勝手な願望を叫ぶ。


「序・破・急! 急須だけに最後に畳み掛け欲しいですね。商売は勢いが大事です。値下げした上にサービス品を付けるのはテレビ通販では基本中の基本!」


 さすがに理財に明るい三成である。

 商売の機微がわかっている。

 テレビ通販もよく観てるようだ。


(――それはいくらなんでも合わせ過ぎだぞ、三成。妙な駄洒落が入ってるし。まあ、信長様には合わせないとやっていけないが)


 と心の中で真田幸村は思った。 

 リアルのフリマで「南部鉄器急須」が3500~5000円(小、中サイズ)ぐらいであって、メリカリで「南部鉄器急須」で検索して探してたんですが、意外と安い。

 とはいえ、大体、相場は3000円ぐらいになっちゃう。

 2000円だとすぐ売れてしまいます。

 信長の言ってることが買い手の僕の要望なんですが、こういう顧客心理を把握すれば出品してもすぐに売れますね。

 3000円の品を2000円に値切ってきたら、惜しいと思っても、すぱっと売ってしまうのがいいですね。せめて500円引きにすれば売れるだろうし、送料込みにするのもいいですね。

 色々と質問するのも、めんどくさいので、これぐらいは明記、対応して欲しいな。というのがお菓子のセールスやってた僕の感想です。


『非正規社員 石田三成』~ショートストーリー集~ 坂崎文明

https://www.alphapolis.co.jp/novel/771049446/971051558


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