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君を失った夏。  作者: Azusa
3/3

中学3年 秋

「帰ろう?」

あかりがひょこりと私の前に顔を出した。

そうだ。私が帰るはずだった子はこの子。

「うん。帰ろう」


あかりは目がクリクリしていてお人形みたい。髪の毛はサラサラで

顔も小さくて足もスラーっと長い

横に居る私がなんだかとても醜く感じる。自信をなくすほどだ。


靴を履いてるとあかりはちょっとまって。と

目の前にいた巨人に話しかけていた。

巨人とは 宮部なおきのこと

179cmで私とは30cmも差がある。バスケ部に所属していて

驚く程体つきもしっかりしていて同じ人間とは思えないので

巨人と呼んでいる。

「おい。かよ。またな。」

声が低く、高校生です。といわれても疑わないくらい大人っぽい。

「うん。」


あかりは私の腕を引っ張って

「ごめんね。いこっか。」とにこりと笑った。

あかりの履いていた靴に目が行く。

また新しい靴を履いていた。

先々週新しい靴を買ったばかりなはずなのに

なんかあかりの家は格別だな~と

しみじみ実感した。


あかりはあの巨人と3か月前から付き合っているらしい。

でも、そのことをあかりは私には話してこない。

だから私も聞かないでいる。あかりから話してくれるのを

待っているのだ。


あかりと巨人はお似合いだと思う

お互い中学生とは思えないし、何より美男美女だ。

どこの学校にもいるであろうカップルの理想像。

どっちから告白したんだろうな~とか

デートはどんな場所に行くんだろう。とか

いろんな妄想をして楽しんでいることは

巨人にもあかりにも内緒だ


でも、親友ってなんでも話すものだと思っていた私は

少しだけショックなのである。私には何も話してくれないのが。


そりゃクラスも違うし部活も違うから

あかりにはあかりの世界があるんだろうけど

あかりにとって私ってなんだろう。ただ一緒に帰る人なのかな。と考えてしまう


「ねえ。かよ。高校、どこ行くか決めた?」

寒そうに手に息を吹きかけながら質問をしてきた。

私の心配なんて全く気づいていないあかり。

その仕草もかわいくて ずるいなぁ。と思った。


「決めたよ。一応。あかりは?決めたの?」

う~ん。と首をかしげる。

「うん。一応。花園か白山高校。」

花園高校と白山高校は

県で3つある女子高の中の2つで、偏差値が高く私立ということもあり

俗に言う「お嬢様」が行く学校だ。という先入観がある。

周りも森で囲まれていて、なんというか

そこに通う人はみんな「ごきげんよう。」とか使うのかなって

たまに考えていたりする。


「すごいね。女子高じゃん。」

「うん。お父さんとお母さんが、どっちかに行きなさい。って…」

少し調子が悪そうだ。

「ホントは行きたくないの?」

え?とこっちを向く。

「いや~。別にどっちかでいいんだけど、公立でもいいんじゃないかな。って

でもお母さんが、公立より私立の方が設備が整ってるし、環境も私に合ってるからって。」

私もあかりは私立のほうがいい気がする。

なんとなくだけど人には合うもの合わないものがあって

あかりは私立の方が合う。


私、花園高校出身です。ってあかりが言ったら

デスヨネ~ってなる。


「そっか~いいとおもうけど。」

「うん。かよは?どこにするの?」

あかりは調子を戻した。


「私は菊川高校にしようかな。って。」

菊川高校は一言で言えば 中の下。

普通よりちょっと下。特に何の特徴もなく普通の高校

って感じの高校。私には普通の菊川高校があってると思う。

何から何まで普通の私にはお似合いの高校なのだ。


「そっか。菊川高校か。今年行く人多いね。」

「そうなんだ。倍率上がるのかな。ヤダな。」

勉強をなかなかすることができない私にとっては

倍率が上がることが何よりの恐怖である。


「菊川高校はやめたほうがいいとおもう。」


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