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君を失った夏。  作者: Azusa
2/3

中学3年 秋


なるべく学校にはいたくなかった。


それは、別にいじめられてるとか

先輩に目をつけられているからとか そういうわけではなくて


ただ単に学校が居心地のよいものだとは思っていなかったから。


普通に勉強もできるし友達もいる。学校は楽しいという感情だってある。

でもどこかで

学校を嫌っている自分がいる。その理由は自分でもよくわからない。


部活で青春したい。とか かっこいい先輩と恋愛がしたいとか。

中1の頃は私も人並みに思っていた。


でも中3になると

女子と男子の複雑な関係とか

女子同士の分裂とか 先輩後輩の好き嫌いとか

そういうのが本当にめんどくさくなる。 


なんで平和に生きようとしないのかな。って 時々疑問に思う。


きっと恋は人の理性を壊してしまうんだろうな。って怖くなる


私だって恋の一つや二つだってしたことがあるけど

それは「恋」と呼べるものではなくて。


同じ部活の先輩といい感じになって付き合って

2ヶ月間何も話さずに別れたり


クラスメートに告白されて付き合ったけど

ナルシスト感にイライラして 好きじゃないな。こいつ。って気づいたり

そんなもん。


でもたったこの二つで私は 「恋」というものに

「めんどくさい」という感情を抱いてしまったのである。


「ごめん!かよちゃん!今日かなとくんと帰る約束してるからかよちゃんとは帰れない!ほんとごめん!」

そしてこの人は その 「恋」というものに 学生時代の 青春をささげてる人。


よく 女子から嫌われないな…。と思うほどブリブリな山口りおなは

これから最近出来た 年下の彼氏 「かなとくん」とやらと帰るらしい。


そもそも2か月前にいた 「トシくん」という年下の彼氏と別れたのを知ったのも

今日だし、新しく 彼氏ができたことを知ったのも今日だ。

多分私が 別れたことを察してくれていると思っていたのかもしれないけど

私に別れたか別れてないかを察するのはほぼ不可能だ。

だって 「トシくん」とりおながしゃべっているところを見たことがないから。


そして何より疑問なのは いつ私が りおなと帰る約束をしたのか。ということ。

どこで約束をしたのかも全く覚えてないし身に覚えがないから

きっと約束なんてしてないと思う。

ただりおなは 新しくできた彼氏と帰る。ということを

私に自慢したかっただけだ。ただそれだけ。


「うん。わかった。バイバイ」

ヒラヒラと手を振ると りおなはバイバイ。と手を振り返し

くるりとまわり、1年生の玄関まで可愛く走っていってしまった。

くるくるしたツインテールがふわふわと跳ねていた。

そして私は思った。「かなとくん」って中学1年生だったんだ。

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