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2歳 秋

 9月10日


 祭りだ。

 少しおいしいものが出るが、村人たちの喜びや楽しみは共感できない。

 村人は、本当に純真でいい人達だ。

 この収穫が無ければ俺も生きてはいけない。それは充分わかっているし、両親への感謝もある。収穫への感謝もある。

 しかし、素直に喜べない。

 こちらの世界から逆に疎外されている。そんな気分だ。

 被害者意識を持っているというわけでなく、俺が異質で、異端なのだ。


 早々に眠いと言って、ばあちゃんが付いて来ようとするのを、大丈夫と振り切って、独りで家に帰る。

 

 祭りの度に、ヒッキー自宅警備病が顕著に出てしまう。

 別にその場の雰囲気を壊さぬようにじっとしておくことも出来るのだが、晴れがましい所がどうしても自分にそぐわない感覚になってしまい、逃げ出してしまう。


 理解は求めていない。



 することはあるのだ。


 狙っていたのは、家に誰も居ない時間。

 そう、家にある魔結晶のMPを測るのだ。


 箱をあけ、後で原状回復が出来るように、革の袋の位置、向き、革のよじれ具合を丁寧に観察し、納得できる状態になってからゆっくりと他のものに当たらぬように取り出す。

 袋から魔結晶だけを取り出し、こっそりと【魔力探査】・【計量測定(メジャリング)】をかけた。

 

 《 138.3 MP》


 見たことの無い数値だ。【魔力吸収(マナ・アブソーブ)】の誘惑に駆られる。

 さすがにマズイと思い、魔結晶を袋に戻し、痕跡の残らないよう箱にきっちりと戻した。

 


 9月12日


 いつもの徴税官がやってきた。


 今年の彼のファッションは、オレンジと赤のひだひだの上着。下はもっこりぴたぴたパンツ。

 ブーツは革の膝まであるふつうのタイプ。ブーツはかっこいい。

 もっこりパンツはやはり俺的に無理。


 小屋に家族みんないるが、搾取されるのは気分悪い。


 偉そうに部下に指示を出し、例年通り半分以上を持っていく。


 新しく出来た小屋がまたもすっきりしてしまった。

 小屋に農具も移したので、母屋もすっかすかだ。家具がなんせ無い。

 当然ながら、家の雰囲気が暗い。逃げ出そう。


 さわがしい広場にいってみると、徴税用の馬車が8台並んでおり、護衛らしき従者が二人づついる。

 騎士の格好をしている者が16人もいるとなかなか壮観だ。村人たちも恐れている風ではないが、遠巻きに見ている。

 村長のブルーノさんが騎士の隊長格の人と話している。

 どうやら、一日ですべての徴税した小麦が運べないので、のこりを村の倉庫に保管するようだ。村人が集められ、家々から倉庫に小麦を運ばされる。

 労働力も搾取だ。


 村人は唯々諾々と指示に従っている。もちろん、顔を見てうれしそうな人は居ない。しかし、税を搾り取られ、労働も無償でさせられていることに疑問すら持っていないようである。


 俺は厭だ。絶対に農民にはなれない。



 9月14日


 明日は村人待望の行商人がやってくる。

 昨日から行商人が来るという話しが村中に広がり、うちの家族もお金をどう使うか家族会議が開かれたのである。

 夕飯のあと、食べたものを片付けた机の上に、家のサイフというべき革の袋が置かれ、中身がすべて出される。なかには4種類のコインが入っていた。

 ばあちゃんが、コインの説明してくれる。簡単に言えばお金の単位は「リブラ」、「£」という見たことある省略記号を使うそうだ。1£が小さい銅貨、10£が銅貨、何故か100£が無くて200£が小銀貨、1000£が銀貨になる。

 金貨は1万£で、普段は使わないし、小さな買い物で使うと嫌がられるらしい。どうやら日本の1万円札より大きな価値を持っていそうだ。


 親父がコインの種類ごとに並べ、一枚ずつ数えている。

計量測定(メジャリング)】使わないのだろうか?俺に見せないためなのか、少し頭が悪いんだろうか本当にどっちかわからない。真剣な顔を見ると、後者である可能性が高い。


 小銅貨12枚、銅貨27枚、小銀貨3枚、銀貨11枚


 11882£ なのに、親父はその答えを出すのに3分以上かかった。

 かあちゃん と ばあちゃん は自分では何も考えずにその間ずっと親父の顔を覗き込んでいる。そして、あろうことかようやく答えを出した親父に拍手する有様だ。


 ファンタジー設定で、住人達が「計算が苦手」というのがあるが、ここまでとは・・・悲しいかな俺の家族である。この人達が特別なのか?


 悲劇は続いた。必要なものを次から次にかあちゃんが言う。

 いくらかかるか計算するために、単価はわかっているので、その度に硬貨を取りながら考える。しかし硬貨の数が足りなくなってやり直す。硬貨が足りるような買うものの順番を変えようとする。でもまた硬貨が足りなくなる。

 そして、とうとうヒステリーを起こした。


 単純な四則混合をせず、場合の数に持ち込んで沈没した。信じられないことが目の前で繰り広げられている。


 その後、親父がかあちゃんから欲しい物と単価を聞き出し、わずか11種38点の合計を出すのに2時間近くかけていた。


 親父の【計量測定(メジャリング)】が、手の部分が光る理由は、俺とは違い、計算で求めていないことが今日とてもよくわかった。どう測っているのだろう?


 楽しみは、明日の行商人の計算能力だ。



 9月15日


 






ここまで書いて、自分の作ろうとした世界観と、基本設定が大きく矛盾していることに気付きました。

それは、LV設定というか、LVが上がったときに能力が上がるというのがおかしいという事です。

LV設定というのはやるつもりでしたが、あくまでも主人公が勝手に異世界を理解するために設定するもの。としたかったのに・・・


まぁ、練習一発目としてはこんなものなのでしょうか?

書いている内に文章力が上がるかも?というのも儚い夢でした。


とりあえず、この話はここでしばらく凍結です。


次の練習にいきます。




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