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春ちゃんと出会ったのは大学に入学して最初の授業の時だった。
電車が遅延したせいで授業開始ギリギリで教室に入った私はキョロキョロと空いている席を探すが、ほとんどの席が埋まっていた。
入学最初の授業とあってか、皆真面目に出席しているらしい。
困った顔で途方に暮れていると、一番近くに座っていた生徒が「座れば?」と隣に置いていた荷物を除けてくれた。
その生徒こそが春ちゃんで、あまりの美人さに一瞬固まってしまった。
その後も昼食に誘ってくれたり一緒に授業を受けてくれたりと、知り合いが一切いなかった私にはありがたい存在だった。
もちろんその当時は本当に女性だと信じていて、入学2か月後に驚きのカミングアウトをされるわけだが。
その後は男女問わず好奇心からか、春ちゃんの周りには人が集まっていた。
人気者になってしまった春ちゃんの傍をこっそり離れようとはしたが、あんな大人数の生徒が集まっている中、春ちゃんは私を目ざとく見つけては隣に座ってくるので諦めた。
持ち前の順応力も手伝って春ちゃんがオカマさんだろうと気にならなかったし、そもそも春ちゃんは一緒にいると楽しい上に美人だ。
眼福ものである。まぁ男だけど。
それから4年間ほとんど同じ授業を選択し常に春ちゃんが傍にいた為、結局私には大学の友達が春ちゃんしかできなかった。
しかし、こうして就職してからも定期的に会って愚痴を聞いてくれる大親友である。
あ、さすがの春ちゃんも会社ではちゃんとしているらしい。
想像できないけど。