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今の私の心境を例えるなら、リア充爆発しろの一言である。
いや、あの二股男だけでいい。なんか不幸になってくれ。
「あんたホント男運ないよねぇ」
親友の春ちゃんはビール片手に呟いた。
春ちゃんは大変美人である。
ショートカットの似合う少しハスキーなお姉さん。
一緒に出掛けると春ちゃんだけナンパされる。
モデル並みに美人な春ちゃんだが、生物学上は男である。
「春ちゃんだって彼女いないじゃん」
春ちゃんはオカマさんだが、ちゃんと女の子が好きなのである。
しかし、残念なことにオカマさんなので彼女ができない。
「失礼ね。私は本気を出せば見つかるわよ」
そう言いながら爪を整える春ちゃんは、失恋した私を全く慰める気がないらしい。
「春ちゃんが慰めてくれない」
友達やめてやるーとウソ泣きすると、目の前の美人は大きく溜息を吐いた。
「あのねぇ、こうも頻繁に呼び出されても見なさいよ。ワンパターン過ぎて飽きるわよ」
そうなのだ。2か月に一度ぐらいこんな会話をしている。
つまり、2か月に一度のペースで私は失恋しているのだ。男運がないにも程がある。
「春ちゃん、男の子紹介して」
不貞腐れて頼んでみるも、春ちゃんは「やあよ」と言ってビールを飲んだ。
「それで上手くいかなかったら気まずい思いするの私だけじゃない」
なんで上手くいかないことが前提なんですか。
今まで別れた原因を考えてみる。
今回は二股男、前回はギャンブル男、前々回は・・・
あ、さっき止まったはずの涙が出そう。なんでこうもダメ男の引きが強いのだろう。
「ま、最悪私が雫と結婚してあげるわ」
やったー結婚相手見つかったわー
とでも言うと思ったか。
「オカマはこっちから願い下げですぅ」
こうやって春ちゃんに愚痴るとスッキリする。
春ちゃんには感謝しているのだ。