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しるし(詩集)

雨に繋がり

作者: さゆみ

落ちる無色の雨粒が冷たく傘につき刺さる



振り落とし急ぐ路は薄くぼやけて知らぬ顔



早暁の町並みは何も見えず語らず覆い被さる



水溜まりは輪の連なりを繰り返し呑み込んで



雨が叩く 肩越しに叩く



俯けば浮かび上がる あの幻影は


私の頭の両端を痛ませる



あの時少女はどしゃ降りの雨に項垂れ


泣いていたのか

笑っていたのか


ビルの屋上で両手を天に捧げ見上げたその顔を


私は見据えることが出来ない



ただ足早に歩き続けて通り過ぎようとした



信号が赤く辺りを鎮め私の足元が静止する



壊れそうな想いが押し寄せて記憶の雨が繋がった



〈大丈夫 あなたは ここまで 辿り着ける〉



私は信号の青と共に歩き出す

透明な雨粒が刹那に光る



まだ前を向けない私は傘に隠れそっと顔を上げた



自分の胸に片腕を絡ませ抱きしめる



〈大丈夫 あなたは ここまで 辿り着けた〉








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