輝月(瑞樹&雫樹)
※次作の練習です
【伊従瑞樹】
・双子の兄
【伊従雫樹】
・双子の妹
【輝月智秋】
・謎の組織の人物
「おかえり、瑞樹君。お邪魔してるよ」
「なんであんたがうちにいるんだよ⁉︎」
そのやり取りに反応して、妹が台所から顔を出す。
「あ、お兄ちゃん、おかえりなさい。頼んだ食材買えました?」
妹は何事もないように平然と答える。茶髪の男性は湯呑みでお茶を啜っている。雫樹が出したのであろう。
俺は買い物した食材をレジ袋ごと雫樹に渡した。
そして茶髪の男を睨みつける。
「……輝月さん、あんたまだ妹を殺そうとしているのか?」
「まさか〜、殺そうとしてたら君がいないうちに殺してたよ」
ヒラヒラと手を振って否定する。
だが初対面の時は、雫樹を殺そうとしていた奴だから、油断ならない。
「じゃあ何しに来た……」
「まあ強いて言うなら、君達の監視かな?」
妹と二人で平和に暮らしていたのに、それをめちゃくちゃにされた気分で腹ただしい。
「監視って妹は『力』を悪いことに使いやしない‼︎」
「妹ちゃんの『力』はやつらにとっては喉から手が出るほど欲しいだろうからね。やつらの味方になられたら僕らが困るんだよ」
「怪物を呼び出すんだろ⁉︎ そんなこと雫樹はしないし俺がさせない‼︎」
輝月は湯呑みを置いてため息をつく。
「やれやれ、やつらに洗脳された場合は?」
「……あいつらは洗脳もできるのか⁉︎」
「できるやつもいるね」
「その時は俺が雫樹を正気に戻す‼︎」
「根拠のない台詞だね」
そう言うと傍に置いていた刀を抜いて俺に斬りかかる。
俺はそれを横向きの白刃どりで受け止める。
「流石、瑞樹君だね。まあこのくらいできないと話にならないけどね」
そう言うと輝月の力が増して押されていく。
「『力』を使いやがったな⁉︎」
俺も対抗して『力』を使う。
「あれ? 目を抑えなくても『力』を使えるようになったの?」
「ああ、何度も敵と戦ったおかげで慣れてな」
俺はググッと刀を押し返す。
そこへ頭上に突然衝撃と痛みが走る。
頭を抑えて前のめりにうずくまる。
この茶髪野郎、何しやがった⁉︎ そう思い顔を上げて目の前の人物を見ると、俺と同じように頭を抑えて痛みを堪えていた。あれ? と思いつつ、ローテーブルの横に仁王立ちしている人物に目をやる。妹様だ。
「二人とも家の中で暴れないで下さい‼︎ しかも二人して『力』まで使って‼︎ まったくもう」
まさに形相も仁王様のようだ。思わず身を縮めてしまう。輝月も萎縮しつつ刀を収める。
「じゃあそういうことで。またね」
どういうことか分からんが、刀を持って帰って行った。
「お兄ちゃん、喧嘩は駄目ですよ。それに輝月さんはなんだかんだで無闇に私たちに危害を加えませんし」
「いや、俺が危害受けそうになったんだけど?」
「ああ、あの人は昔からあんな感じで誤解受けやすいのかもしれませんね。本気で斬るつもりはなかったと思いますよ?」
妹は俺にゲンコツした頭を撫でつつ言う。あいつの過去を知った雫樹が言うのだからそうなのであろう。