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075 向き合うこと

 放課後、私は有栖さんに呼び出されてA組教室に残った。曰く、『お嬢さま』について再度整理したいとのことだ。


「なるほど……本郷さんではなかった、と」

「はい。正直驚きです。ストレートに好意が伝わるのはエレナからでしたから」

「そうね。わたくしも彼女がいわゆるお嬢さまであってもおかしくはないと思っていましたわ。ただ……同時にこんなまどろっこしいことをするタイプではないとも思っていたけれどね」


 それは……確かにそうだ。

 お嬢さまはとにかくチキン。私と積極的に話しかけられるタイプではないのかもしれない。


「あくまで読み取れる性格からだけれど、A組の中にお嬢さまがいるのだとしたら天月さん、神村さんあたりが怪しくなるわね」

「そうですよね」


 それと……裏の顔の桃園さんとかな。


「もし今指名しなさいと言われたら誰を指名するつもりかしら?」

「そうですね……怪しいなと個人的に思うのは吹雪さんと桃園さん。それからエレナの後輩であるカレンちゃんでしょうか」

「麻萌グループの子ね」


 当たり前のように知っているんだもんなぁ。すごいわ。


「……わたくしの方でも少し調べておきますわ。そのために……柚子、出てきなさい」

「はっ」


 有栖さんの声に応じて、柚子さんが掃除道具入れから出てきた。え? 汚くないの? とか思うのは野暮だろうか。


「わたくしの従者の柚子は諜報と身体能力に優れているわ。信頼してもらって構わない」

「な、なるほど……」


 有栖さんの情報源を晒して、信用してもらおうってことか。


「やっぱり柚子さんってすごい人なんですね。有栖さんの右腕をやられているなんて」

「まぁまぁまぁ、いやいやいやそんなそんな……」


 あからさまに嬉しそうな柚子さん。有栖さんの右腕ってワードが刺さったのかな。


「ごほん、わたくしはあなたに協力することに決めました。だからヒントや背中を押すことはできるけれど……最終的にあなたがどうしたいか。それは決めておくべきですわよ」

「……わかっています。でも少し考える時間が欲しいですね。正直あんまり向き合えていないことなので……」


 向き合うこと……私にとっても必要なことだし、お嬢さまにとっても必要だよな。そろそろ私と……ちゃんと向き合ってほしいものだ。

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