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073 打ち上げファミレス

 打ち上げパーティー。

 それは文化祭でも経験することのできなかった、青春っぽい出来事だ。

 それを格安のファミレス、「サイゾリヤ」で開催しようって言ってしまったことだけが後悔だ。もう少しいいレストランにすれば良かったか。


 桃園さんも有栖さんも断ることなくファミレスについてきてくれた。まぁファミレスというものがどういうものか説明するのに数分を要したけども。


「賑やかなお店ですわね」

「うん☆ なんだか楽しいな〜♪」


 確かに金楼の食堂はとても落ち着いている。とても学生が何十人と集まっているとは思えないほどに。

 だから食事をする場所での喧騒が珍しいんだろうなぁ。


「まぁ……こんなもんだよ。メニュー見て決めようか」

「な、なんですの!? これ!」

「え? 何かありました?」

「すごーい! パスタ399円、ハンバーグだって499円だって! ……ええっ!? ドリアなんて299円だよ!」

「信じられませんわ……まさか店員さんたちは無給で?」


 なんかすごい疑り深いな。そりゃバイトは最低賃金だろうけどちゃんと支払われているよ。たぶん。

 紆余曲折ありながらも、有栖さんはパスタ、桃園さんはハンバーグ、私はドリアを注文した。もちろんドリンクバー付きで。


「じゃあ学校見学会と文化祭、お疲れ様ー!」

「お疲れ様ですわ」

「お疲れ様〜☆」


 かんぱーい! ってね。

 こういうファミレスのドリンクバーって安いの使っているんだろうけどみんなと飲むとなぜか美味しいんだよなぁ。


「……結衣ちゃんよくそんな緑色のもの飲めるね」

「え? あぁメロンソーダ? 美味しいよ」

「め、メロンなの? じゃあちょっと気になるかも?」

「流石フルーツメイカーの娘。飲んでみたら?」


 私はストローを差し出し、桃園さんに飲むように促した。

 桃園さんは一瞬固まった気がするけど、メロンソーダに口をつけた。すると首を少し傾ける。


「メロンの味……する?」

「えっ!? しないの!? メロン食べたことないからわかんないんだけど!」

「じゃあいつか実家の果樹園で取れたメロンを食べさせてあげるね☆」

「あー、うん。お願いしようかな」


 謎の約束を取り付けてしまった。桃園さんは内で何を考えているのだろうか。


「慎見さん、今回わたくしたちをお誘いになられたのはどんな理由があってのことです?」

「あー……ごめんなさい、深い理由はないんです。なんというか……あのまま帰るのは青春っぽくないなぁと思って」

「「…………」」


 私がそう告げると2人は少しだけ固まってしまった。しかしその数秒後……


「ぷっ、あはははっ!」

「ふふふ……面白い方ですわね。本当に」


 なんだか笑われてしまった。まぁ恥ずかしいことを言ったんだから笑われたほうがむしろ楽かもしれない。

 制服を着て何気ない会話をファミレスでする。それが青春感を一気に出してくれる。

 ファミレスに来て正解だったな。願わくば次は……A組みんなで。

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