066 メイドさん奮闘記④
どうも皆さんごきげんよう。わたくし、とあるお金持ちの家のとある屋敷のとあるお嬢さまのとあるメイドでございます。
本日お嬢さまは金楼学園の文化祭に参加していらっしゃるはずです。吉報が届くといいんですがねぇ。
金楼学園の文化祭といえば、縁結びで有名でしたよね。条件については忘れましたが、ロマンチックなものです。
覚えているのはそう、その縁結びの理由。確か金楼の校舎が建っているのは戦前、縁結びの神様が祀られていた神社であったとのこと。そしてそのご利益は男女恋愛にとどまらず、同性恋愛にも及んだとのことです。
そのことから現在の金楼の噂に繋がっているのでしょう。神社が空襲で焼けてしまったのは残念ですが、物がなくなったからこそ伝説が残ったのですね。
さて、お嬢さまはその噂に乗っかることはできたのでしょうか。そういうの、気にするタイプですからねぇ。
掃除をして、事務仕事を終えたらお嬢さまがお帰りになられたのでお出迎えをする。
「文化祭はいかがでしたか、お嬢さま」
お嬢さまは私の言葉を無視して部屋へ行ってしまった。おや……もしかしたら良くないことがあったのかもしれませんねぇ。
そういう時はホットミルクです。蜂蜜を入れて、甘めに仕立てる。そうすればお嬢さまの機嫌などたちまち良くなるのです。
ホットミルクを片手に、お嬢さまの部屋へと忍び込んだ。するとお嬢さまはすでに夢の中へと旅立たれていたことに気がつく。
「なるほど……お疲れ様でした、お嬢さま」
私は自分でホットミルクを飲み、満足げにお嬢さまの部屋をあとにした。
明日はそうですね……いろんな話を聞くことができるでしょうね。ふふ、少しだけ、楽しみになってきました。