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062 リーダー

 文化祭の準備期間に入ると、本格的な作業が始まった。看板からチラシまで自分たちで作るというのが金楼の方針らしく、お嬢様たちは右往左往しながらも完成への道を優雅に歩いていた。


 そんな中私はというと……なんと「たません」班の班長になってしまった。たませんを知っているのが私しかいないのだから当然といえば当然なのかもだけど、リーダー的なポジションは得意ではない。


「たませんは基本的に2人ひと組になるといいと思う。卵を焼く人とせんべいにソースやかつお節なんかのアレンジをする人の2人ね」

「はい! 結衣さんとの組を所望……」

「今はそれいいから!」

「しゅん……⤵︎」


 なんか組を作ると本当に時間を取られるから、とにかく先に調理工程を伝えよう。

 たません班に配属された天月さん、エレナ、桃園さんは学年でもかなりの成績上位者だ。だからたませんの作り方もすぐにマスターしてくれるはずだ。


「じゃあまず卵を焼くよ。フライパンを熱してバターを入れる。バターが溶けたら卵を割って入れて、箸で小突くように卵に触る。そうすると黄身が崩れすぎずに絶妙に白身と混ざるから。で、黄身がカチカチに固まる前、つまり半熟の時に引き上げる。これで卵は終わり! 質問ある?」

「はい!」

「……エレナ」


 なんか嫌な予感しかしないけど、質問があるというのであれば受け付けた。


「結衣さんがそんなにお料理ができるのはなぜですか? 花嫁修行ですか?」

「違うよ……お母さんの帰りが遅い日がしょっちゅうだったから、自然と自分で作れるようになっただけ」


 まぁ自分で作るという機会がないお嬢様にはわからないだろうな。


「それで? 調理工程についての疑問はある?」


 天月さんも桃園さんも、一回で理解したようだ。さすが秀才、頼りになる。


「じゃあ次はせんべいね。大判のせんべいにソースを塗る。あとはオプションでつけられたらかつお節、青のりなどを乗せて卵を待つ。卵を乗せたらオプションでマヨネーズ、チーズなどを乗せて完成!」

「「「おぉ〜!」」」


 パチパチパチと3人から拍手を浴びた。ふふ、悪くないな。


「じゃあ文化祭本番までにまた練習を重ねよう! 頑張っていい文化祭にしようね!」

「「「はい!」」」


 ふぅ、リーダーは疲れる。やっぱ向いてないや。

 肩を落とした時、通りかかった桃園さんが素の状態で耳打ちした。


「リーダー、できてんじゃん」


 ……ははっ、自分では気がつけないものなのかな。

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